家賃や交通の便などを重視して選ぶことが多く、収納に関してはあまり贅沢をいえないことが多いワンルームのお部屋。
私自身も過去に1Rや1Kといった間取りの部屋で生活していた時期があり、それなりに収納に関する悩みを抱いていました。
今回は、そんな収納スペースが少ないワンルームの部屋で暮らす人へ向けて、自身の経験から得た収納に関する工夫や解決のアイデアを紹介したいと思います。
まず、持ち物を減らす工夫をしよう
ワンルームの部屋で暮らすための基本的な心構えは、「最低限の所持品で暮らす」ことにあるといえます。
私も実家を出てワンルームでの一人暮らしを始めた際には、幸い実家に物を置いて来られたということもありますが、持って来た家具はベッドとコタツのテーブル、そして高さのあるカラーボックスひとつだけ。
冷蔵庫はミニキッチン備え付けのものを使用し、電子レンジはもちろん、テレビや洗濯機もなく、しばらくはコインランドリー通いでした。
それでも部屋のなかはいっぱいいっぱい。
玄関とキッチン込みで6畳という狭さだったということもありますが、何かを買い足すときには、置き場づくりをあれこれ考えてパズルのように知恵を絞った記憶があります。
なので、ワンルームで生活するにあたっては、収納難を嘆く前に、まず持ち物を極力減らして臨むことが肝心だといえるでしょう。
そんな心構えで暮らしていても、新聞や雑誌、洋服類など、知らず知らずのうちに物がどんどん増えていくという不思議。
捨てきれないものはどこかにしまうしかありませんが、しまう場所がありません。
では、どうするか? そこで私は考えました。
収納スペースは目線より上と下で探す
収納スペース難の解決へ向けて、考えた末にたどり着いた結論。
それは「収納スペースは用意されているものではなく、自分で作りだすもの」という意識改革です。
ちょっと手を加えれば、収納スペースとして使える部分があったり、置かれている家具のデッドスペースになったりしている箇所があるのではないかと、狭い部屋を念入りにチェックしました。
日頃生活している目線ではなかなか見つけることができない、未発見の収納スペースですが、床に這いつくばったり、ベッドの上に立ってみたりしたところ、見落としているスポットを発見。
それは、作り付けのクローゼットのなかにありました。
ハンガーなどを掛けるパイプの上部です。
そのままだと物を置くことは難しいですが、奥にパイプと同じ高さで突っ張り棒を渡し、その上に板を置くと(私はとりあえずの段ボールをそのままずっと使っていましたが)、ちょっとした棚が完成。
ひと工夫することで、季節的に着ることがない服などをしまっておくスペースを手に入れることができました。
その他にも見落としがちなスペースになっているのが、ベッドの下です。
私はもともと下に引き出しのついたベッドを使っていたので、後から活用することはありませんでしたが、この天地は限られるものの畳1畳ほどの面積を使わない手はありません。
釣り竿などの長尺物や、弾かなくなったけれど処分できないキーボードなどといった、高さはないけれど大きな物をしまっておくにはうってつけです。
また、ホームセンターに行くとベッド下専用の収納ケースも売られているので、必要に応じて活用してみてください。
四次元的発想でさらなる収納アイデアを
収納意識の改革によって新たなスペースを手に入れた私ですが、さらに四次元的発想によって新たな収納場所を見出すことに成功します。
その収納場所とは、「いま自分が立っているところ」です。
考えてみれば、いま自分が立っているところは、自分が移動すれば空きスペースとなります。
空きスペースになるならば、そこに物が置けるはず。
でも自分がそこに立つときは、物をどかさなくてはならない。
空間だけでなく時間も絡むこの命題、答えはキャスター付きワゴンにありました。
引っ越しのためにいらなくなったというキャスター付きワゴンを友人から譲り受けた私。
「邪魔だったら返す」というお試し感覚で使ってみたところ、予想以上の大活躍。
普段はキッチンの前に置いておき、キッチンを使いたいときは居間にちょっと転がせばOK。
炊飯器とトースターの置き場に加え、お米やパスタ、インスタントラーメンなどをストックすることも可能になりました。
その他に、この部屋で生み出したちょこっと収納テクニックとしては、「家具を壁にピッタリ置かない」というのもあります。
カラーボックスを置く際に、あえて壁から数cm離して置くことで、その隙間にスケッチブックや大きめの本などを差し込んでおくスペースを生み出すことができました。
ちょっとセコい感じもしますが、収納場所に困るものがあるときには意外と使えるアイデアだと思います。
どうしようもないときはレンタル倉庫を活用
生活に必要なものだけでも収納難に陥りがちなワンルームの部屋。
趣味に使う道具が増えて置き場に困ったり、特に学生であれば本がどんどん増えるものの本棚が置けなかったりなど、どこかで限界を迎えるのではないでしょうか。
根本的な解決策として、広くて収納スペースも豊富な部屋に引っ越すという手段がありますが、そう簡単には引っ越せなかったり、部屋そのものが気に入っていたりなど、様々な事情があると思います。
そんなときは試しにレンタル倉庫を使ってみるのもひとつのアイデアです。
レンタル倉庫は大別すると2タイプ、屋外に置かれているコンテナタイプと、ビルや倉庫のように作られた建物のなかにスペースが用意されたトランクルームと呼ばれるタイプがあります。
家の外にある物置と家のなかにある納戸をイメージすると分かりやすいでしょうか。
それぞれに得意分野があり、比較的大きいものや多少汚れても構わないものは屋外コンテナが向いており、比較的小さいものやデリケートに扱う必要があるものはトランクルームが向いています。
屋外コンテナには、キャンプ道具や釣り道具、使わなくなった家具などの収納に適しているほか、バイクの車庫としても使えるものもあるので、現在住んでいるアパートやマンションにバイク置場がない場合の選択肢としてもよいでしょう。
一方、トランクルームには本や衣類、コレクションしたスニーカーやフィギュアの置場として利用するほか、コスプレの衣装置き場兼着替えスペースとして使っている人もいるようです。
ただし、収納できるものや利用方法については、各施設で条件やルールがあるので必ず従うようにしてください。
引っ越しには物件探しからガスや水道の手続き、実際の荷物の運搬まで、様々な労力がかかります。
一方レンタル倉庫であれば、現在の生活を維持しながら、手っ取り早く収納スペースの悩みを解決できる点が魅力といえるでしょう。
ワンルームに暮らしていた当時、仲間数名とキャンプにハマっていた私。
みな同じような間取りの部屋に暮らしていたので、道具はそれぞれが分散して預かるようにしており、部屋の真ん中に大きなテントの袋が鎮座するということもありました。
もし、その頃、現在のようにレンタル倉庫が普及していれば、みんなでお金を出しあってレンタル倉庫を利用していたに違いありません。
みなさんもワンルーム暮らしのなかで収納スペース問題の限界を感じたら、レンタル倉庫の利用をぜひ考えてみてください。
文:松田朝九(40代・フリーランスコピーライター)