大学生の息子さんがハーレーを購入し、その置き場所として屋外型トランクルーム(コンテナ)を契約したあるお父さん。

驚くべきは、バイクを運び入れる前に、納車スロープの手配とコンテナ内の床の調整を自前で行ったとのこと。

大型バイクを収納するのって、そんなに大変なの?勝手に改良しちゃっていいの?

疑問を解消すべく、改良まもないハーレーコンテナの前でお話を伺いました。

 

 

名前:お父さん+大学生の息子さん

契約トランクルーム:埼玉県蕨市内の屋外型(1階建て)

賃料:21,800円

広さ:4帖タイプ

家族構成:本人(父)、妻、長男、次男(ハーレー持ち主)

自宅マンションから物件までの距離:自転車で7分

車の所有:有

 

取材のお相手は、実際にコンテナを使用する息子さんと契約者のお父さんのおふたり。

 

 

特注!ハーレー仕様にコンテナを大改造。

早速コンテナを見せていただくと、そこには取り外し可能な木材スロープが!

知り合いの職人さんに外注して、スロープとコンテナ内の床上げをしてもらったといいます。

 

特注のスロープを取り付けた状態。※天井と壁の木材はもともと。

 

父:「契約前から、コンテナの入り口と地面までの距離が気になってはいたんです」

 

息子:「バイクの車重は280kgもあるので、スロープ無しで出し入れすることは不可能だし、物件備え付けのスロープを取り付けても段差がうまれて、バイクを下ろす時に引っかかってしまうんです」

 

備え付けの金属製スロープを設置しても、高低差が生まれてしまう

 

当初は、ネットで売っているアルミ製の車椅子用のスロープを買うことも検討していたおふたり。

しかし、強度に不安があることからお知り合いの職人の方に相談したところ「それなら作っちゃおっか」と、思い切って特注する運びになったのだそう。

 

その後は、その職人の方に現場をみてもらったり、材料を買ったりと、やりとりを重ねながら準備を進め、設置当日を迎えたそう。

 

職人の方とイメージを共有するため、絵を描いたり、写真を送ったり

 

父:「ここの地面、水が流れるように斜めっているでしょ。スロープは平らにしないとバイクが傾いて倒れてしまう危険があるので、左右で足の長さを変えて調節したり、入り口についているフックに被らないように幅を考える必要があったんです」

 

なるほど。よく見ると、コンテナが設置されているコンクリートの地面には、道路に向けて緩やかな傾斜があります。

設置されているコンテナの床は真っ直ぐですが、地面には傾斜があるのでスロープの足の長さを調節することで対応したのだそう。

 

父:「自分たちは見ているだけでしたけど、プロの職人技はやっぱりすごかったですね」

 

床とスロープの段差が見事に解消され、出し入れもスムーズに

 

 

全長1.8mのハーレーは、コンテナ探しも一苦労。

息子:「ハーレーを買うと決めてから、すぐにコンテナを探し始めたんですけど、バイクコンテナって全然空きがないんです。

最初にここで見せてもらったコンテナは、コンテナのサイズは良かったのにバイクを入れるまでの前のスペースが足りなくて、断念しました」

 

息子さんが購入したハーレーの全長は1.8m。

じつは去年、このコンテナを見学した時に紹介された個室は、現在契約中コンテナとは別のものだったそう。

その個室の位置は、入口までのアプローチが短く、切り返しができないことから諦めることに。

 

間近に見ると、大きさと迫力に圧倒されるハーレー

 

息子:「自宅からの距離を考えるとここが良かったんですけど、バイクを切り返せないことにはどうしようもなくて。

もう一箇所検討していた別の会社のコンテナには、鉄のゲートが元々付いていて、それを倒すとスロープになる仕様でした。自宅からの距離はありましたが、最終的にそちらを契約することに決めました」

 

あれ??

それってつまり、最初はここを借りなかったってことですか??

じゃあそれから約半年後、なぜ再びここのコンテナを契約することになったのでしょう?

 

父:「ここを見学したときに担当してくださったスタッフの方が、半年後にお電話をくださったんです。『〇〇さん、良い位置のコンテナが空きましたよ!』って。すぐに見に行ってみると、そのコンテナがある位置なら、バイクを切り返す動線が確保できることがわかって。

すでに契約して利用していたコンテナは、入り口の前が砂利であること、自宅から遠いこと、防犯カメラが設置されていないことに少し不便を感じていたので、思い切って引越すことに決めました」

 

バイクをコンテナから運び出す息子さん

 

見学から半年後に、まさか担当者から電話がかかってくるなんて思ってもいなかったというおふたり。

物件の利便性はもちろん、その熱意にも動かされたと言います。

 

父:「この辺りは雨が降ると道路が水浸しになるので、これだけ地面から高さがあれば水害の心配もないですしね。

スロープと床上げさえ解決できれば、距離の面でも広さの面でも、防犯の面でもこちらが優位だったので」

 

コンテナ内には、バイクを整備するための用品もずらり

 

特に、コンテナの周りの環境は、実際に足を運んでみないとわからないことが多いんだとか。

 

息子:「前に利用していたコンテナは、住宅街にあったのでバイクを入れる際の騒音にはとても気を使っていました。

エンジンをかけないとスロープを登れないんですけど、なにせハーレーはエンジン音が大きいので。

大通りに出てエンジンをあたためて、アイドリングしてからここに運ぶようにしていたんです」

 

その点、今のコンテナは大通りに面した場所にあるので、その心配がないそう。

おふたりにとっても、初めてのコンテナ探しは学びが多かったと言います。

 

実際にエンジンをかけて見せてくださった息子さん

 

 

人生で初めて乗るバイクが「ハーレー」

息子:「バイクへの興味は中学生くらいからあったんですが、自分で乗るつもりは全くありませんでした。それが大学へ入ってバイトを始めたら、バイト先でバイク好きの先輩と知り合って。次第に自分も欲しいと思うようになりました」

 

父:「息子はサッカーの強豪校に通っていたんですが、途中で部活を辞めてしまったんです。

その間は燃え尽き症候群みたいな状態で、なにか新しい目標を見つけられるといいなと思って、ハーレーを見にお店へ一緒に行ったのが、息子が高校3年の時です」

 

息子さんが部活を辞めて以来、お父さんは何か息子が夢中になれるものと出会えないかと、バイクの他にもセパタクロー(ネット越しに足と頭のみでボールを扱う、足のバレーボールと呼ばれている競技)の修行にタイへ留学に行かせたり、とにかく色々なことを経験する機会をつくったそう。

 

そんな風に家族に見守られながら、息子さんはついに夢をみつけます。

10代でハーレーダビットソンを購入するという目標です。

 

憧れのハーレーを19歳で購入

 

お父さん自身も若い頃、バイクに乗っていたそうですが

「まさか自分の息子がハーレーダビットソンに乗るなんて考えてもいませんでした!」

と、息子さんからハーレーを自分で買いたいと聞いた時には、とても驚いたそう。

 

息子:「免許も持っていなかったので、まずはハーレーに乗るためだけに、すぐに教習所に通い始めました。

初めは80万の中古のバイクを買う予定だったんですが、ハーレーの新車でも120万くらいで買えるものがあることを知って、せっかくならと、考えが変わりました。結局、妥協せず、ローンを組んで自分が一番欲しいモデルを買うことにしました」

 

最終的に購入したモデル「FXBRS ブレイクアウト 2020年式」は、なんと……車体だけで280万円。

そこにカスタムにかかった分をトータルすると、350万円ほど。

全て、息子さんご自身で負担するというから、驚きです!

 

いつでも洗車できるように、コンテナには水を常備しているそう

 

父:「ハーレーって15年ローンを組むことができるんですよ。マニアがいたりプレミアがついたりする老舗のブランドだからこそ、長いローンが組めて、大学生でも買えるようになっているんです」

 

ちなみに、コンテナの月々の費用だけは、お父さんも半額援助なさっているそう。

 

父:「うちがもしマンションではなく、戸建てだったら庭先にでも置けたわけですしね。正直、このコンテナの賃料と、月々息子が返済しているハーレーのローンってほぼ同額なんです。つまり、払い続けていればもう一台ハーレーが買えてしまうほどの出費ってことなんです。それはさすがにちょっとかわいそうだなと思って、賃料だけは折半してあげることにしました」

 

 

新しい世界の扉を開いたハーレーライフ

ハーレー購入以降は、生活が一変したという息子さん。

息子:「ローンを組んで出費も増えて、お金に対する意識はだいぶ変わりましたね。外に出て人に会う機会も増えて、洋服や出先での食事代なんかもかさむようになったので、本気でお金を稼がないと、と働く意識も変わりました」

 

自分で責任を持って、夢中になれるものを見つけた息子さん。

ハーレーを手に入れたことで広がっていく新たな縁も、楽しんでいるご様子です。

 

バイクに乗る時は、洋服もハーレーに

 

息子:「インスタで連絡を取り合って一緒にツーリングに行ったり、このハーレーを購入したお店で企画されるツーリングに参加してみたり。これまであまり接点のなかった50代以降の大人の方とコミュニケーションを取って、いろいろ教えていただくことも多いです」

 

父:「親としては、見ず知らずの人とSNSを通じて会うことに最初は心配もあったんですけどね。皆さんとっても上品で。ハーレーに乗られている方って紳士な方が多いみたいです」

 

そう話すお父さんは、息子さんが参加するツーリングに、こっそり車で付いていくこともあるそう。

(お父さん……)

ハーレーが集まって走る姿は、とても迫力があって、見ているだけで興奮するんだとか。

 

とはいえ、ハーレーがある生活もまだ始まったばかり。

コンテナもこれから使いやすいように改造していくということなので

「その時にまた取材させてください!」とお願いすると快くOKが。

 

ありがとうございます!

 

今はただ立てかけて保管しているスロープも、置き方を模索中とのこと

 

次回は、コンテナの改造過程だけでなく、使って感じた屋外コンテナのメリットやデメリットも取材させていただこうと思います。

 

同時に、息子さんのハーレーへの熱量や将来にも、密着していきたいところです。

ということで、この取材は次回へも続きます!

 

 


お暑い中、マスク着用での取材にご協力いただき、本当にありがとうございました!