ご存じの通り、海がない埼玉県。
そのため、さいたま市も津波などの被害は無縁と言えますし、温泉も秩父の方に行かないといけないことからも分かる通り火山噴火の被害も少なく、災害面においては住みやすい街なのではないかと思います。
ただ、先日の千葉の被害は記憶に新しいですが、どこがどんな災害に遭うのは分からないもの。
しっかりと自分の住んでいるエリアのハザードマップは把握しておきたいですね。
ここでは、大宮、浦和エリアのハザードマップを中心にお送りします。
水害ハザードマップ
海なし県の埼玉県(大宮、浦和)、水害のリスクは、海のある他県に比べるとかなり低いと言ってよいでしょう。2011年3月11日東日本大震災の際も、津波の被害は埼玉県としては無縁だったといえます。
ことさいたま市(大宮、浦和)に絞りますと、海はないものの、見沼田んぼがあることでも分かる通り、広大な河川があります。
具体的には、荒川、綾瀬川、芝川が主な河川となるでしょう。
治水がまだ整っていない江戸時代以前は、氾濫を繰り返していたようですが、まず荒川の場合は、彩湖と言われている3,900万立方メートルの貯水容量「荒川第一調整池」があります。
彩湖は「湖」という名が付いているものの自然の湖ではなく、人口池で、荒川の水量を調整する調整池だったのです。
昨年、世界かんがい施設遺産に認定された見沼代用水は、現在も県内の農地の約2割以上を占めており、約1万ヘクタール以上の土地に農業用水として使用している埼玉県の農業の要です。
また、見沼代用水にはもうひとつ重要や役割を担っているのです。
それは、綾瀬川、芝川の氾濫まで防ぐ水害防止との役割です。
詳しくは下記で後述しますが、2019年台風19号の際も、綾瀬川も多少氾濫しましたが、さいたま市内でいえば緑区の埼玉スタジアム周辺あたりが水没してしまっただけで、大被害にはなりませんでした。
(見沼代用水は氾濫寸前まで溜まっていたので、沼代用水の偉大さを実感しました)
さいたま市全体としては、やはり今も田んぼなどになっている河川の周辺は水害のリスクは低くないといえますが、江戸時代から宿場町として栄えてきた土地だけあって、治水対策はかなり前から行っており、田んぼ地区から住宅地区に切り替わるあたりは大抵高台になっています。
そのため、筆者が住んでいるのは緑区周辺なのですが、10分ほど歩けば見沼田んぼが広がっているのですが、住宅があるところは高台に整備されているので、水害は心配していません。
※見沼代用水(さいたま市緑区大字上野田付近)
(荒川・入間川)洪水ハザードマップ
引用:さいたま市洪水ハザードマップ(https://www.city.saitama.jp/001/011/015/002/003/p008311.html)
(綾瀬川・元荒川・大落古利根川・新方川)洪水ハザードマップ
引用:さいたま市洪水ハザードマップ(https://www.city.saitama.jp/001/011/015/002/003/p008311.html)
※芝川ハザードマップ
引用:さいたま市洪水ハザードマップ(https://www.city.saitama.jp/001/011/015/002/003/p008311.html)
2019年台風19号時のさいたま市の状況から水害リスクを考える
2019年10月に発生した台風19号、千葉県など多くの地域で水害被害に見舞われましたが、実際さいたま市(大宮、浦和)の状況はどうだったのでしょうか。
さいたま市も経路はもろに直撃、深夜に通過したので、自宅は家が揺れるほどの暴風雨で眠れないほどでした。
朝、外に出て水没していないか心配だったのですが、多少道路に水は残っているものの、被害というほどではありませんでした。
しかし、さいたま市全域がまったく被害がなかったわけではありません。
主に河川沿いとなりますが、まずは、荒川沿い、桜区の北西から南西にかけて、主な場所としては、カマキリ公園が水没してカマキリの頭しか見えなくなってしまったのがSNSでも話題になった彩湖周辺や、レッズランドなどが水没被害に。
また埼玉スタジアムのあるさいたま市緑区の東端あたりは、綾瀬川が近いこともあり、数日間水没に見舞われてしまいました。
それでも、大宮駅、浦和駅周辺をはじめ、さいたま市のほとんどの地域は翌朝にはほぼ水は引いていました。
しっかりと治水を整備していることがよく分かったものです。
このように彩湖や見沼代用水のような大規模治水対策場だけでなく、遊水池も各地にありよく見かけます。
遊水池は、日ごろは子どもたちがボール遊びなどができる遊び場として活用されているので一石二鳥の場ですね。
「東新井団地(1)調整池」(さいたま市見沼区)
地震ハザードマップ
では、地震のリスクはどうなのでしょうか?
もちろん日本全国地震リスクゼロというところはないのですが、埼玉県を横断している活断層は、馬県高崎市(旧榛名町)から埼玉県伊奈町にかけての、長さ約82kmに及ぶ活断層(関東平野北⻄縁断層帯)による地震の場合、マグネチュード8.1程度の大地震が想定されています。
しかし、鳥取県西部地震のような地表断層が不明瞭な地震の最大級の地震も考えられ、「さいたま市直下地震」が起きる可能性もゼロではありません。
さいたま市直下地震の場合、想定されている被害は大宮区、浦和区、中央区などいわばさいたま市の中心部(都市部)は震度6強となっており、比較的地震のリスクも少ない地域とはいえ、未然の準備は必要です。
引用:さいたま市地震防災マップ(https://www.city.saitama.jp/001/011/002/p006793.html)
引用:さいたま市地震防災マップ(https://www.city.saitama.jp/001/011/002/p006793.html)
ペットとの同行避難も可能に
また、避難を余儀なくされるとき、家族の一員であるワンちゃんやネコちゃんなどのペットはどうなるのか、心配な人も多いのではないでしょうか。
さいたま市は、環境省から「災害におけるペットの救護対策ガイドラインに基づき、「さいたま市地域防災計画」にてペットとの同行避難がOKになっています。
ただしあくまでも人優先なのでルールをしっかり守りましょう。
参考:さいたま市避難所におけるペットの対応について
(https://www.city.saitama.jp/001/011/015/006/p055713.html)
~働いていた視点から~防災活動拠点として威力を発揮しそうな埼玉スタジアム
サッカーの聖地として浦和レッズの試合だけでなく、日本代表戦や高校サッカーなども度々行われている埼玉スタジアム。
サッカー好き以外だと、コンサートなどもやってよ!と思う人も多いかもしれませんが、埼玉スタジアムは防災活動拠点としての役割を担っているのです。
実際、以前10年ほど運営スタッフで働いていた経験があり、その時の視点から防災活動拠点としての埼玉スタジアムを見てみましょう。
埼玉スタジアムは、ちょうど南北のゴール裏スタンドの下(地下)には、約2,200㎡の広さのスペースが広がっており、そこは食料品や生活用品が備蓄されている備蓄庫になっています
場所的に台風や大雨の水害被害は河川が近く低い土地のため、避難所としてはまったく向きませんが、大規模火事や地震の際は、周辺は広大な公園になっていますし、雨をしのげるスペースも広いので、適しているのではと思います。
また、通常駐車場(東駐車場)になっているエリアが貯水池となります。
埼玉スタジアム開業当初は貯水池になっていましたが、今は水を引かせて駐車場として利用しているのですが、横を流れる綾瀬川が氾濫した時などは貯水池に変身するわけです。
実際、台風19号の際も綾瀬川の氾濫を防いだのも、この貯水池が大いに役立ったとされています。
しばらく貯水池のままで駐車場にはなりませんでしたが。
※埼玉スタジアム 東駐車場