自由にモノを保管することができるトランクルームですが、何でも預けていいわけではありません。
各社のサービスの利用規約には、預けてはいけないものがはっきり明記されています。
今回は、トランクルームに預けていけないものはどういったものかご紹介するとともに、万が一規約を破って預けてしまった場合どうなるかを解説しています。
トランクルームに預けてはいけないものの種類
トランクルームには自由にモノの出し入れができるので、つい自分の家の物置のように部屋の収納に仕舞いきれないものを何でも預けたくなります。
けれど実際にはサービスとして一時的に借りている施設なので、以下にあてはまるようなモノは預けられません。
・トランクルールに損害を与えてしまうようなもの
トランクルームを破損する原因となったり、解約した際に修繕や清掃などが必要になるものは預けられません。
・非常に高価なものや貴重なもの
トランクルームの提供元が保管に責任をもてないような、非常に高価なものや貴重なものは預けられません。
それでは具体的にどんなものが預けられないのでしょうか。次の段落で具体的な種類と例を紹介します。
トランクルームに預けてはいけない具体例
実際にどんなものを預けられないか、ジャンルごとにみていきましょう。
▽引火・発火の可能性があったり毒性があったりする危険物
ガソリン・灯油・塗料・花火のように引火・発火の可能性があるもの、有毒性のある薬品などは預けられません。
万が一火事になったり、毒性のある危険物が漏れて被害が出たりするのを防ぐためです。
なおストーブは預けることができますが、灯油は抜くようにして下さい。
▽悪臭を放つもの、腐敗する可能性のあるもの
食べ物や生花のように腐敗して悪臭を放つ可能性があるものなどは預けられません。
匂いがトランクルーム内にしみつけば清掃の必要が生じますし、悪臭は周囲の迷惑にもなります。
なお食べ物を少しの期間だけ預けたい場合もあるかもしれませんが、その場合は事前に運営会社へ相談して許可をとるようにすれば、あとで問題になるのも防ぐことができます。
▽カビやサビが発生する可能性があるもの
たとえば霜取りをしていない冷蔵庫などは、カビが発生する要因になるので預けられません。
必ず霜取りをしてから預けて下さい。また錆びやすい金属などもNGです。
これらはトランクルームを汚して清掃の必要が生じてしまいます。
▽生き物・植物
ペットや植物は預けてはいけません。
ペットは糞尿などで悪臭の原因になりますし、植物も腐ればやはり悪臭を放ちます。
▽遺骨や遺灰
遺骨・遺灰の類は基本的に預けることができません。
万が一破損や盗難、紛失があっても提供元は責任をとることができません。
▽預けることで変質してしまう可能性があるもの
お酒や皮製品など預けることによって品質が劣化してしまう可能性があるものも、会社によって預け入れを禁止されている場合があります。
預けることで品質が落ちてしまっても、提供元が責任をとれないためでしょう。
▽貴重品や高級品
現金や貴金属、金券、預金通帳、重要種類、美術品、その他高級品に関しては預け入れでいない場合があります。
仮に紛失や破損などがあっても、提供元で責任をとれないから、というのが理由でしょう。
▽磁気を発して、そのほかの保管品に影響をあたえる可能性があるもの
宅配型のトランクルームで多いケースです。
たとえば磁石のような磁気を発するものが入っていて、隣に置かれた箱に磁気テープがついたポイントカードなどが入っていると、磁気不良の原因になってしまう可能性があるためです。
宅配型のトランクルームを利用する場合、このようなルールがないか規約をチェックしたり、提供元へ聞いたりして確認してみてください。
▽重量や大きさがトランクルームの規格にあわないもの
これは当然ですね。
重過ぎたり大き過ぎたりしてトランクルームへ入れられないものは、預け入れを断られます。
「預けてはいけない」ものを預けたらどうなる?
どんなものを預けてはいけないかは分かりました。
それでは仮に、禁止されているものを黙って預けてしまった場合はどうなるでしょうか?
具体的には、以下2つの可能性があります。
・仮に紛失や破損があっても補償してもらえない可能性がある
・トランクルームに損害が発生した場合は補償しなくてはならない
どういうことか1つずつ解説します。
▽仮に紛失や破損があっても十分に補償してもらえない可能性がある
大手トランクルーム会社の1つ「ハローストレージ」の規約には、「当社の故意または重過失により契約者に損害が生じた場合は、法律上の賠償責任を負う(※1)」とあります。
トランクルーム側の過失によって、預けた品物が紛失したり破損したりしても、基本的にはこのように賠償してもらえるわけです。
ただしハローストレージの同規約に「禁止収納物を収納した場合の物品類の滅失、毀損等」があっても、ハローストレージ側の責任は免責される(※1)ともあります。
つまり規約で「預けてはいけない」という指定があるものを預けてしまい、それがたとえハローストレージ側の過失で紛失・破損しても「責任とらないですよ」ということです。
ちなみに他の多くのトランクルームでも、規約に同様の記載がみられます。
トランクルームは、安価な価格で収納用のスペースを貸し出すサービスです。
貴重品を預けるのに適した銀行の貸金庫と異なり、あまり高価なもの、値段が付けられないくらい貴重なものまで責任はとれないというのは理解できます。利
用者はこの点を把握して、トランクルームに何を預けるか検討する必要があるでしょう。
▽有名な作家の全集預け入れを断られたわたしの経験
ちなみにわたし自身、有名な作家の全集の初版をトランクルーム(ハローストレージ)に預け入れるのを断られた経験があります。
「亡くなった家族の形見なので捨てるに捨てられないが、かさばって困る」という話をしたら、トランクルームのスタッフの方に「そういった貴重なものはご遠慮いただいた方が……」と丁重に断られました。
よくよく話を聞いてみると、トランクルームの出し入れ自体は利用者の自由なので、決して全集を預けられないわけではないということです。
宅配型のトランクルームでなければ、利用者が預け入れるものをスタッフの方に1つ1つチェックされるわけでもありません。
ただし万が一のことがあったときにハローストレージが賠償できる金額の上限が一契約あたり50万円と決まっているとのこと。
ハローストレージの利用規約をみたら、確かに補償額の限度が「金500,000円」までとの記載があります(※2)。
▽トランクルームに損害が発生した場合は補償しなくてはならない
トランクルームは、あくまでスペースを「借りる」サービスです。利用者側の過失でトランクルームを傷つけるなど損害が発生した場合は、原状回復に必要なお金などを補償しなくてはなりません。
また他の利用者が預け入れたものにまで被害がおよべば、当然ながらその補償も要求されることになります。実際たとえばトランクルーム大手のキュラーズの規約には、以下のような文言があります。
“利用者の責めに帰すべき原因又は収納品の変質等により当社又は第三者に損害が生じた場合は、利用者は、当社又は当該第三者に対し、当該損害につき賠償の責任を負うものとします。” (※3)
同様の文言は、ほかのトランクルームの規約にもみられます。たとえば引火性の高いガソリンや灯油を預けて、もしもそれが原因で火災にでもなったら……。
原状回復や他利用者の荷物を賠償するためには、びっくりするような金額になることは容易に想像できます。
そのような事態にならないように、規約で禁止されているようなものを預け入れるのは避けた方が無難です。
仮に迷うようであれば、預け入れる前にトランクルーム側へ問い合わせて確認することをおすすめします。
まとめ
トランクルームには、提供元が補償しきれないような貴重品や、トランクルームに被害を与えてしまう危険性があるものは預けられません。
仮に貴重品を預け万が一のことがあっても、十分な補償が受けられない可能性があります。
また引火性のあるガソリンなどの危険物を預けトランクルームに損害が発生したら、損害賠償を請求されることになります。
もし預けてよいか迷う品物がある場合は、事前にトランクルームの運営元へ問い合わせるとよいでしょう。
【参考】
(1)(2)ハローストレージ公式サイト(「重要事項確認書」)
https://www.hello-storage.com/agreement/
(3)キュラーズ公式サイト(「収納ユニット使用規程」)
https://www.quraz.com/assets/pdf/user_rule_rs.pdf