自宅のクローゼットの奥に詰め込んでいたウールのコートを久しぶりに出してみたところ、あちこちがボロボロに……。
え……???
そうか、これが虫食いか。
気を取り直して、今後の対策としてどのような手が打てるのかをちょっと調べてみました。
虫食いの被害を生むクローゼットのギュウギュウ問題
普段着る機会は少ないものの、ないと困るのがちょっとしたフォーマルな格好にも合わせられるコート。
私も軽くて着心地のいいウール素材のものを持っていましたが、ここ数年着る機会がなく、次第にクローゼットの奥の方へと追いやられていました。
年末、大掃除の際にクローゼットの中身を全部出してみたところ、なんとそのコートのあちこちがボロボロに。
20年ほど前に購入したものではありましたが、当時それなりに奮発して買ったものだったので、しばし呆然。
よくみたところ、クローゼット内で擦りきれたようでもないので、これは虫食いではないかと判断。
Webで調べてみると、まさに同じような状態の写真が次々とみつかりました。
「いやいや、確か防虫剤を使っていたよな」とハンガーの合間に掛けてあった防虫剤を見たところ、まさかの2年前に期限切れ!
そもそも、頻繁に使う手前の服たちは間に余裕を持って掛けてあるのに対して、出番の少ない服は奥の方へギュウギュウに押し込まれており、キャパシティ的にもいっぱいいっぱいの状態。
増えてゆく衣類の収納問題と併せて、今後、同様の害虫被害を受けないためにも、服を減らすか、クローゼットを増やすかの判断に迫られました。
衣類の虫食いが発生するメカニズム
さて、衣類の虫食いはどのようにして発生するのでしょうか。
・衣類の虫食いの犯人は「カツオブシムシ」と「イガ」の幼虫がほとんど
・これらの成虫が、洗濯物に着いたりして屋外から家のなかに侵入する。
・暖かい屋内のなかでも、暗くて湿気があり、衣類という食べ物に囲まれたクローゼット内は害虫にとっての天国ともいえる環境。
・侵入に成功した害虫は、クローゼット内で1日に数百個もの卵を産卵する。
・孵化した幼虫が数ヶ月間、衣類の繊維を食い続ける。
・場合によってはクローゼット内で代重ねをすることもある。
ということで、我が家のクローゼットのなかは害虫の養殖場のようになっていた可能性があることを知り、ゾッとしました。
衣類の虫食いには、基本的に防虫剤を使った対策がポピュラーですが、併せてクローゼット内の換気を行って湿気を逃がすことも重要とのこと。
根本的には「カツオブシムシ」や「イガ」が住みにくい環境にすることが何よりの解決策となるようです。
セカンドクローゼットとしてのオススメは空調管理が徹底された屋内型トランクルーム
(c)icom
さて、服を減らすか、クローゼットを増やすかの判断に迫られた我が家。
服を減らすことはいつでもできるので、まずはクローゼットの増設が候補に上がります。
しかし、金銭的、スペース的な問題で本格的に検討するまでもなく却下。
同様にタンスの購入も候補に上がりますが、置き場がないことを理由に却下。
そんななか、何かいい解決法はないかと調べていると、トランクルームを活用する事例をいくつか発見。
そこで分かったことを整理してみると、次のようになりました。
・衣替えのときなど、衣類の収納に困ったときに便利なのがトランクルーム。
・衣類の収納に向いているトランクルームは、屋外のコンテナ型ではなく、空調設備のある屋内型。
・空調設備のある屋内型トランクルームは高温多湿になりにくく、害虫が棲みにくい環境。そもそも、建物自体が害虫が侵入しにくい造りになっている。
・空調設備のある屋内型トランクルームは結露の心配がなく、カビ対策にも効果的。
・屋内型トランクルームのなかには、フィッティングルームを備えたものや、段ボールに預けるものを入れて送ることのできる宅配型のサービスを行っているところもある。
ということで、空調設備の整った屋内型のトランクルームは、虫食い対策を含めて衣類を預けておくのにうってつけの環境のようです。
「それではどこが良いか」と調べてみたところ、残念ながら屋内型トランクルームの多くは都市部にあり、埼玉郡部の私の自宅近くには適したトランクルームがない模様。
さしあたり、クローゼットの中身を減らし、防虫剤を使って対応することにしました。
衣類のしまい方のヒント
衣類を預けておくのに適した屋内型トランクルームをみつけたら、収納方法も万全にしたいもの。
そこで、虫食いの被害などに遭わないためにどのようにしまえば良いか、ヒントをいくつか紹介したいと思います。
・まず洗濯をしてからしまう
一度着用した衣服には、目に見えない汚れや汗、皮脂などが付着しています。
そのまま放置しておくとシミなどの原因になる場合があるので、収納する前には必ず洗濯をするか、クリーニングに出しておくようにしましょう。
・箱に入れてしまう場合の注意
ハンガーに掛けて吊るしておくと型崩れするような衣類の場合は、箱に入れてしまう方法が適しています。
その際は、折りたたみ方に気を使ったり、詰め込みすぎないようにしたりするなど、しわができないように注意してください。
また、空調設備があるトランクルームのなかとはいえ、箱のなかは湿気がこもりやすい環境といえます。
除湿剤を湿気がたまる底の方に置き、可能であれば畳んだ服を積み重ねるのではなく、衣類が密着しないように縦に並べた状態にして入れておくと安心でしょう。
・ハンガーに掛けて吊るしてしまう場合の注意
クリーニングに出したコートやスーツなどは、ハンガーに掛けた状態で返却されるので、そのまま吊るしてしまっておく人も多いのではないでしょうか。
ほとんどの場合、ビニールのカバーを被せて返されますが、収納の際はカバー内に湿気がこもるため外してからしまう方法が推奨されています。
ただのビニールのカバーであれば、そのとおりカバーを外してからしまうようにするのが良いのですが、お店によっては防虫、防カビ、抗菌などの加工が施された、片面が不織布になっているカバーを付けてくれるところもあります。
実際、先日私が礼服をクリーニングに出した際も、この機能性カバーが付いて戻ってきました。
このような場合は、ワンシーズン程度の収納であればカバーを被せたままで構わないでしょう。
いずれの場合も、衣類をしまう際には、念のためにラックに吊るすタイプの防虫剤を併用しておくとより安心です。
・預けっぱなしにしない
衣類の保管に最適な屋内型トランクルームとはいえ、大切な衣服は定期的に自分の目でチェックしましょう。
高価な着物やパーティー用のドレスなど、ここぞというときのために出番を待っている衣類たちもあるでしょう。
いざ着るとなったときに困らなよう、「愛着」を持って保管することが、トラブル対策の根本といえるかもしれません。
文:松田朝九(40代・フリーランスコピーライター)