使わないものは手放す。

お気に入りのものだけを持つ。

そうすることで得られる心の余裕。

 

「持たない暮らし」にはそんなイメージを持つ方が多いでしょう。

けれど持たない暮らしが実は防災にも繋がるということを知っている方は少ないのではないでしょうか。

 

私は東日本大震災の時にたまたま旅行で仙台にいて、震度6の地震を経験しました。

この経験を踏まえて、じつは持たない暮らしは防災にもつながると気付いたんです。

今回は私が考える<防災の観点から見た持たない暮らしの良さ>についてお話します。

 

 

<持たない暮らしと防災の関係って?>

ベッドルーム

 

「防災っていうなら、家に色々物があった方がいいんじゃないの?」と思われるかもしれません。

けれど防災を考えた時、単純に物が多ければいいというわけではありません。

 

例えば地震の場合。

私は東日本大震災が起きた時、ちょうど旅館タイプのホテルの部屋に到着した時でした。

仲居さんに説明を受けている時に地震が起きたので、部屋は綺麗な状態でしたが、揺れている時はテレビが倒れそうになったり、ロビーではシャンデリアが割れて床にガラスが散乱していました。

 

荷物が多かったり出しっ放しになっていると地震の際に物が倒れたり落ちたり。

また外に出たくても通路をふさいでしまう恐れもあるし、寝室に物が多ければ寝ている間に物の下敷きになる可能性だってあります。

 

ベッド周りにはなるべく物を置かないこと。

適切な量の物をもち、棚などに収納すること。

そしてドアストッパーなどを使って荷物が飛び出さないようにしたり、物が倒れないようにしておくこと。

こうすることで揺れから身を守り、何かあってもすぐに外に出られる状態にしておくのは大切だと感じました。

 

そう感じながらも子供が生まれてしばらくは片付ける余裕もなく、物が増える一方だった我が家。

でも常に防災のことは頭になって、気がかりでした。

思い切って片付け&防災対策をすると、部屋がすっきりしただけでなく、安心して家で過ごせるようになり、ほっとしました。

物が多すぎるとこうした対策をするのも億劫ですが、少なければ対策もしやすいという点も持たない暮らしの良さです。

 

 

<物を減らすことで必要な物品を見つけやすく!>

 

「念のため。何かに使うかもしれないし!」

そう思ってたくさんの物を溜め込んだ結果、どこに何があるのかわからなくて探すのに時間がかかってしまう。

そんな経験ありませんか?

 

けれど防災の観点から見たらそれって結構危ないかも。

私は東日本大震災の時、まだ荷ほどきもしておらず、バッグにはとりあえず必要な物が入っていたのですぐにそれを持って外に出る事ができました。

 

けれど物が多いと必要な物品が見つかりにくく、すぐに動けないというデメリットがあります。

必要な物を短時間で見つけ出すことも防災上、大切です。

 

最近では普段の外出時に必要なコートやバッグをすぐに持っていけるように、玄関横のラックと収納にまとめることにしました。

収納の上段には非常持ち出し用袋もセットし、

  • もしもの時にもいつもと同じ動線で動けること
  • 玄関までの通路を塞がないようにすること

を意識した配置にしています。

この配置にしたことで出かけるまでの時間を短縮できて、子供達も自分で準備ができるようになり、普段の生活にも役立っています。

 

また不要な物を手放し、空いたスペースを活用して防災用バッグやストックを置いてくこともできます。

例えば特に災害の際に絶対に欠かせないと言われるのが水。

水は大人ひとりにつき1日3リットル程度必要で、災害時は72時間乗り切ることが必要とも言われています。

つまり4人家族の場合最低でも36リットルの水が必要なんです。

(参照:東京都公式ホームページ、災害への備え

 

その量の水をおくためのスペースを確保してと言われてすぐにできるでしょうか。

使わない物を溜めているスペース。

不要なものを手放して必要なものを置くことで不足の事態にも備えることができます。

 

 

<持たない暮らしを意識して安全快適な生活へ>

 

今回ご紹介したように、持たない暮らしは、見かけをすっきりさせるだけではなく防災にもつながります。

小さいお子さんがいるご家庭や忙しい人は片付ける時間が取れず、ついつい物が増えてしまう、なんてことよくあると思います。

私自身もそうだったのでその気持ちもよくわかります。

 

けれど普段からもしもの時に備えておけば、安心して日々の生活を送れ、いざという時に迅速に行動できるはず。

自分や大切な家族を守るためにも、持たない暮らしと防災の関係について知っていただければ幸いです。

 

文:チカ(30代女性・元看護師)