趣味で写真を始めてみようと思っている人って、意外と多いのではないでしょうか。
その際、欠かせない機材となるカメラですが、事前の知識がないと初心者には自分に合った一台を探すのが難しいもの。
そこで、これから趣味として写真を始めてみたい人たちへ向けて、どのようなカメラを選ぶのが良いかを、20年以上写真撮影の仕事もしてきた経験を踏まえ、個人的な視点で紹介したいと思います。
デジタルカメラにはどのようなものがあるか
私が本格的に写真の撮影を始めた20数年前は、カメラといえばフィルムを装填して撮影するものでした。
しかし、ご存知のとおり今ではSDカードなどにデータで記録するデジタルカメラが主流です。
趣味で写真撮影を行っている人のなかには、もちろんフィルムに撮った写真を楽しんでいる人もいますが、主流はここでもやはりデジカメです。
ひとくちにデジタルカメラといっても、その仕様から
「コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)」
「ミラーレス一眼レフカメラ(ミラーレス)」
「一眼レフデジタルカメラ(一眼レフ)」
の3つに、大まかに分類することができます。
持ち歩きやすさに秀でたコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)
一般的に、サイズの小ささを特色とした、レンズ交換のできないデジタルカメラのことをコンパクトデジタルカメラ(略して「コンデジ」)と呼んでいます。
持ち歩きやすさや撮りやすさを主眼に開発されたものが多く、気軽に写真を撮るためのカメラだといえます。
筐体の小ささを求めるがゆえに、レンズを通して受けた光を受けるイメージセンサーのサイズも小さいものが多く、受け取れる情報量が少ないため、大きなイメージセンサーを備えた「一眼レフデジタルカメラ」と比べると画質が劣ってしまいます。
また、「ミラーレス一眼レフカメラ」や「一眼レフデジタルカメラ」と違ってレンズの交換ができないので、そのカメラに付いているレンズを通した写真しか撮れません。
個人的には、写真撮影の最も面白い部分はマクロや広角、望遠など、レンズそれぞれが持つ特性を生かした画にあると思うので、いろいろな写真を撮りたいのであればコンデジはオススメしません。
(いろいろ試したあげく、特定のコンデジに行き着いて、その撮影を楽しむ魅力には共感します。)
価格的には「ミラーレス一眼レフカメラ」「一眼レフデジタルカメラ」と比べると入手しやすいので、「最低限の投資で写真を撮る面白さを知る」ために購入するのも一つの考えではありますが、それならばスマートフォンで十分かとも思います。
なかには「ミラーレス一眼レフカメラ」や「一眼レフデジタルカメラ」にはないハイレベルな防水、防塵性能を持つものもあるので、雪山や水中など、特殊な環境下での写真撮影を目的としているのであれば、対応する機種の購入を検討するのもいいでしょう。
・コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)のメリット
小さくて携行性がとても良い。
比較的価格が安い。
防水、防塵など過酷な使用環境に対応した機種もある。
・コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)のデメリット
レンズ交換ができないため、撮れる写真に限界がある。
センサーサイズが小さいものが多く、一眼レフに比べると画質が劣る。
レンズの個性を楽しめるうえに携行性も良いミラーレス一眼レフカメラ(ミラーレス)
近年、各メーカーが力を入れているのがミラーレス一眼レフカメラ(略して「ミラーレス」)です。
コンデジのような筐体の小ささと、「一眼レフデジタルカメラ」と同様にレンズ交換ができる構造を併せ持った、「いいとこどり」なカメラだといえます。
コンデジと比べるとレンズの交換ができる点で、「一眼レフデジタルカメラ」と比べると反射鏡(ミラー)という部品を用いていない点で差別化がされています。
暗いシチュエーションに強く、独特のボケ味が楽しめる「単焦点」、ダイナミックな画角の写真が撮れる「広角」、遠くの被写体撮影や被写界深度を生かした写真が撮れる「望遠」、花や静物にグッと寄って接写ができる「マクロ」など、レンズを交換することによって、持ち歩きやすいコンパクトなサイズでありながら、いろいろな写真表現を楽しめるのが魅力です。
画質を左右するイメージセンサーは小さめのものが主流ですが、「一眼レフデジタルカメラ」のハイエンド機にも用いられているような「フルサイズ」規格のものもラインナップされています。
ただ、ミラーレスは登場してからの年月がまだ浅いこともあり、「一眼レフデジタルカメラ」と比べると発売されているレンズの種類がそれほど多くありません。
一式揃えるような買い方をするのであれば、もう少し様子をみてもいいのではと個人的には感じています。
・ミラーレス一眼レフカメラ(ミラーレス)のメリット
コンパクトなサイズながらレンズ交換ができ、本格的な撮影が可能。
・ミラーレス一眼レフカメラ(ミラーレス)のデメリット
交換レンズなどの機材ラインナップが「一眼レフデジタルカメラ」に比べると劣る。
「作品」撮影を目指すなら一眼レフデジタルカメラ(一眼レフ)
プロのフォトグラファーや本格的に趣味として写真を撮っている人たちが使っているカメラのほとんどは一眼レフデジタルカメラ(一眼レフ)です。
一眼レフのなかでも搭載されているイメージセンサーのサイズによって、高画質な「フルサイズ機」と、それよりもやや画質の劣る「APS-C機」に大別でき、価格もそれ相応となります。
一眼レフ最大の魅力ともいえるレンズですが、カメラ本体のメーカーが作った純正レンズ以外にサードパーティー製のレンズも多数販売されており、予算や目的に合わせて楽しく悩みながら選ぶことができます。
ただし、注意したいのがレンズは「フルサイズ機」「APS-C機」それぞれの規格に合ったものしか使えず、使いまわしができないこと。
(フルサイズ機用のレンズをAPS-C機に使うことができる場合もありますが、説明が複雑になるので省きます)
写真の面白さを覚えると、あれこれレンズが欲しくなってくるものなので、まず本体を購入する段階で将来的な構想を持っておくべきです。
かくいう私も、あまり深く考えずにAPS-Cを購入、その流れで機材を揃えてしまったので、初期投資は大きくてもフルサイズにしておけばよかったと後悔しています。
いずれの機種でもコンテストなどに出せるクオリティに対応しますが、大まかな選択基準として、おもにwebでの使用を考えているのであれば「APS-C機」、大判プリントや商用化なども見込んでいるのであれば「フルサイズ機」となるでしょうか。
個人的な意見としては、ハイスペックな「APS-C機」を買うのであれば、最低スペックや型落ちであっても「フルサイズ機」を選ぶことを強く勧めます。
・一眼レフデジタルカメラ(一眼レフ)のメリット
仕事や趣味で使っている人が多いので情報も多く、安心感がある。
交換レンズをはじめ、関連機材の種類が豊富。
高画質な写真が撮れる。
・一眼レフデジタルカメラ(一眼レフ)のデメリット
本体やレンズなど、機材が比較的高価。
重い。
教室やサークルなどが豊富にあり、専門の雑誌も発行されている写真の世界。
数ある趣味のなかでも特に初心者が入り込みやすい環境が整っているので、ぜひ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
文:松田朝九(40代・フリーランスコピーライター)