以前、トランクルームに収納していた荷物がカビだらけになってしまいました。
あきらめずに管理会社と交渉し、なんとかクリーニング代を補償してもらうことができました。
でも、当然事前の備えでトラブル自体を回避できれば、それが一番だということを改めて学んだ一件です。
事の顛末をお話しします。
1)初のトランクルーム利用でバタバタ!
当時の私は、初めて6年間という長期にわたって1つの場所に住み続けていました。
働き盛りで仕事は大忙し。家事をするヒマもありません。
それまでは2年に1度のペースで引っ越していたため、意識しなくても自然と荷物が整理されていたのでしょう。
6年かけて、いつの間にやら、要らない物をたっぷり貯めこんでいることに気がつかずにいたのでした。
さて、働き通しの生活に終止符を打つ時がきました。
長期の海外旅行に出ることにしたのです。
不在の間、アパートの家賃を払い続けるのは苦しい。
そこで考えたのが、近所で倉庫を借りることでした。
調べてみると、家の近くに新しいトランクルームができていて、場所も空いているようです。
内見させてもらい、「階段を降りたところに入り口がある地下1階の物件」という点が少し変わっているかなということ以外は、屋内収納だし、新しくてきれいなトランクルーム。
ここなら安心して荷物を預けられると思いました。
大変だったのは、そこからです。
仕事のキリがなかなかつかず、準備にかける時間がほとんどとれなかったせいもありますが、とにかく荷物が多すぎて、やってもやっても、ちっとも作業がはかどらない!
住んでいた部屋は、広めのキッチンがしっかりついた6畳間=1DKです。
収納場所はたっぷり、和室の脇に小さな板の間もついています。
板の間部分には本棚を並べ、そのほかパソコン机にちゃぶ台などの家具、テレビや冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電と、一人暮らしに必要なものがひと通りそろっていました。
ところが、私が契約したトランクルームは、底辺1.5畳(×高さ2.0メートル)のスペース。
初めてトランクルームを借りる私には、このスペースでどれくらいのものが収納できるのか、見当もつかず…。
結論から言うと、結局、1回の引っ越し作業ではすべては収まらず、友人の手を借りて、追加で家具類を処分したり、タクシーで荷物を運んでもらったりして、なんとか詰め込みました。
何度も行き来できる近所のトランクルームで、ほんとによかった……。
2)帰国して驚愕、荷物がカビだらけになっていた
なんとか荷物をやっつけて、海外に行くことができ、旅行中はトランクルームに預けた荷物のことはすっかり忘れていました。
扉にはちゃんとカギがかかりますし、空調で温度管理がされていて、中は快適。
何の問題もないと思っていたのです。
ところが。4か月後、帰国してトランクルームに行ってみると、洋服、バッグ、靴など、いたるところにカビが!
これはまったく予想していませんでした。
泥棒が入るかもしれない、下の方にある荷物が重みで潰れるかもしれない、食品がダメになるかもしれない、いろいろ考えました。
でも、荷物がカビだらけになるなんて。
考えてもみなかったということは、特に対策をとっていなかったということ。
これが、初動が遅れる理由の1つになりました。
つまり、「自分のせいではないか」と思ってしまったのです。
荷物の収納はバタバタと慌ただしく済ませたので、1つひとつ丁寧に梱包したとは言い切れませんし、何がいけなかったのだろうと考え、落ち込んで数日を過ごしました。
しかし、1日でも早くカビを取り除かなければと、もう一度トランクルームへ行き、カビのついた物を隔離する作業をやってみて、気づきました。
開封済みの食品とか、しまう前に日干ししてない靴にカビが出るということは確かにあるかもしれない。
けれど、こんないたるところに、しかもわりと表面に出ている荷物にカビが一斉に出るのは、何かがおかしいと。
すぐにトランクルームの管理会社に連絡をとりました。
最初はメールで、それから電話も。
担当者の答えはやはり「カビの発生については自己管理の問題」ということでした。
それでも、カビの写真を送り、丁寧に状況を説明し、辛抱強く待ちました。
すると…写真を見て念のためと思い、調査してくれたのでしょう。
2週間ほどは経っていたでしょうか、管理会社から「お知らせしたいことがある」という連絡がきました。その内容は、これまた私にはまったく予想外のものでした。
担当者はカビの原因がわかったと言いました。
トランクルームの現場は地下です。
ですので、天井の上に配管が通っているのだそうです。
そして、その一部に水漏れが見つかったということでした。
図面と写真で確認させてもらいました。
なんと、その配管の水漏れ箇所が、私が借りているスペースの真上だったのです!
新しい物件なので、天井は白く塗られていて、一般住宅の天井と同じようにきれいに仕上がっています。
見た目にはまったく問題ありません。
ただ、その天井の奥に通っている配管から水が漏れ、目には見えない湿気がたちこめて、カビが発生したのだろうということです。
近所にできたトランクルームが地下の物件だったというのも偶然ですが、配管の水漏れ部分の真下のスペースを選んで借りてしまうなんて、“不運”としか言いようがありません……。
3)クリーニング代の補償で洋服はきれいに
設備の老朽化(トランクルーム自体は新しいのですが…)から起こったトラブルですから、管理会社もさすがに自己管理とは言わず、物件のオーナーさんからも状況説明と謝罪の書面を頂戴しました。
これを踏まえて、「補償金を用意する」という申し出がありました。
これで「だめになった靴や洋服も新調できる!」と思ったのですが、そこまで甘くはありませんでした。
「補償されるのはクリーニング代のみ。領収書と明細を提出すること」という条件だったのです。
クリーニングできるものなんて、けっこう限られてますよね!?
でも、とにかくできる限りの物をクリーニングに出しました。
靴やバッグは濡れタオルで拭いてストレージの外で乾かし、靴下や下着など布製品はすべて洗濯し直し。
雑貨類もすべてウェットティッシュなどで1つひとつ拭いていかなければなりませんでした。
数日後、大量のクリーニングされた洋服が届きました。
代金はおよそ4万円。一度にこんなにクリーニングを出したのは初めてです。
しかも、まだちゃんとした家がなかったので、届けてもらったのはトランクルームの住所。
クリーニング屋さんも驚いたでしょうね(笑)
ほんとに大変な思いをしましたが、主な家具・家電類はすべて売りさばいていたし、盗難については気にかけていたので貴重品がほとんどなかったのは幸いでした。
また、補償がきかない(クリーニングできない)本類や書類は、重いからと下の方に積んであったので、あまりカビていませんでした。
今回のトラブルはレアなケースなのでは、と思います。
しかし、「地下のトランクルーム」ということから、よく考えていれば“湿気”というキーワードに思い至っていたかもしれません。
またそうでなくても、何が起こるか、誰もすべては予想しきれないものです。
過信せず備えておけば、被害をより小さくとどめることができていたかもしれません。
私の荷物のつくりかたは、ごく一般的なものだったと思います。
本や書類の箱、衣類の箱、洗面用具や化粧品など雑貨の箱といった具合に、箱別に入れていました。
ただ、すべてが箱に入っていたのではなく、最後まで出し入れしていた入り口付近のものは、衣類や靴も含めて、ビニール袋や紙袋に雑に入っていたものもあったりして。
荷物はビニール袋にできるだけ小分けして入れてから、しっかりと口を閉じて、箱などにしまうこと。
そうすれば、外の環境の影響を受けにくく、袋の中で何かが起こっても小分けになっていれば被害の広がりをおさえられます。備えあれば憂いなし、ですね。