これまでトランクルームというと、キャンプ用品やクリスマスツリーのような、普段使わないけれど「必要なもの」を預けておく場所というイメージでした。
しかし、引越しを機会にトランクルームを利用することになり、様々な利用法があることがわかりました。
トランクルームを借りるにあたって調べたこと、そして実際に使ってみた感想をお伝えします。
トランクルームを借りるこんなケース
よくあるのが、自宅の建て替えやリフォームで、一時的に家を離れなければいけない場合。
工事のためには家具をすべて出さなければいけません。
こんなときは、家財道具の避難場所としてトランクルームは最適です。
また、旧居の契約満了日と新居の入居可能日のタイミングがあわず、空白期間ができてしまう場合があります。
引越しの際に一度トランクルームを経由することで、入居可能日を気にすることなく、好みの物件を探すことができますね。
ほかにも、新居の部屋数や収納スペースが少なく、荷物が入りきらない場合。
新居を終の住処と考えているのならば家財道具の整理・処分が必要ですが、特に転勤の多い方だと次の引越し先で問題なく収納できる可能性もあります。
そんなときに、荷物を一時的に預けるという使い方ができます。
期間限定の転勤や長めの出張、あるいは長期の留学や旅行などで、一定期間家をあける場合にも、トランクルームは強い味方です。
自分が住んでいなくても、家を借りている限りは家賃が発生します。
荷物を運び出してトランクルームに預け、家を解約してから身軽に出かける選択肢もありそうです。
引越し業者のトランクルームを利用
引越し業者によっては、所有または提携しているトランクルームを利用できるオプションがあります。
引越し業者のサービスを利用する大きなメリットは、一度の申込みで荷物の引取り・保管・引越しまですべておまかせできるところ。
プランによっては梱包だっておまかせできますし、荷物が少なく保管期間が短い場合はそもそもプランに含まれていることもあります。
もちろん、見積もりも一括で出してもらえるため、全体的にかなりの手間をはぶくことができます。
損害保険にも入っているため、もし何かあったときでも保証してもらえます。
ただし、保管してもらえる期間や環境は各社様々。
一度預けてしまうと、途中で取り出すのが難しい場合もあります。
また、預けられる荷物に制限がある場合があります。
たとえば、美術品や毛皮製品のようなデリケートな品物は、保管を断られることもあるとか。
事前に条件面をきちんと確認する必要がありそうです。
自分でトランクルームを契約
なるべく費用を浮かせたい。
必要なときに自由に荷物を取り出したい。
そんな場合は、多少手間がかかっても、引越し業者と別に自力でトランクルームを契約する方法があります。
トランクルームと別に搬入業者に依頼すると高くなってしまいますが、自力で搬入できるならばトランクルームの費用のみですみます。
また、立地や営業時間など、自分にぴったり合う条件のトランクルームを契約できるのもメリットといえます。
ただし、業者によっては月額利用料の他に、登録料や事務手数料、保険料、敷金・礼金などの初期費用がかかる場合があるので、あまり短期だと高くつくことも。
事前に料金体系をしっかりチェックしておきましょう。
トランクルームの種類
トランクルームには大きく分けて、「倉庫業で定められたトランクルーム」と、「不動産賃貸業であるトランクルーム」があります。
さらに後者は、屋内型と屋外型に分かれています。
倉庫業者のトランクルーム
倉庫業におけるトランクルームでは、荷物を預かる契約を交わします。
つまり、業者側に荷物を管理する責任があるということです。
荷物の搬出入も管理も、すべて業者が引き受けてくれます。
万が一の破損や盗難の場合にもきちんと保証がされるので安心ともいえますが、一方で自由に荷物の出し入れができず、契約期間の途中で荷物を出すのに追加料金がかかるケースもあります。
国土交通省は、トランクルームの認定制度を定めています。
優良トランクルームと認められた業者は、国土交通省の認定マークと認定番号が表示されているはずですので、それを目印にしましょう。
不動産賃貸業者のトランクルーム
不動産賃貸業におけるトランクルームでは、荷物を置くためのスペースを貸し出すという契約を交わします。
あくまでも場所を借りているので、荷物の保管環境や管理、警備状況は、業者や施設ごとにばらばらです。
そのかわり、24時間いつでも好きな時に荷物を取り出せる施設も多く、使い勝手の良さがあります。
トランクルームには、建物の内部が個別に仕切られている屋内タイプと、駐車場のような広いスペースにコンテナがどどんと並べられている屋外タイプがあります。
屋内タイプでは、警備員さんが常駐しているところも多く、セキュリティ面でも安心感があります。
また、空調も行き届いているので、繊細な荷物を預けるのであれば屋内型が安心です。
屋外タイプは、いわゆる普通のコンテナが多く、湿気や温度などを調節する空調設備がないものが多いです。
そのため、暑くなったりカビが発生したりことがあるため、預ける荷物を選ぶといえます。
ただし、その分値段が安いのが魅力です。
また、トランクルームに車が横付けできるので、大きな家具がある場合は搬入の手軽さも魅力といえます。
実際に利用してみた
私の場合は、家庭の事情で 一年間だけ関東の家を離れ、北陸の実家に帰ることになりました。
最初に浮かんだのは、次の3つの選択肢。
・部屋をそのまま一年間借りておく
・実家にすべて運ぶ
・いったん全部処分して、翌年買い直す
しかし、調べているうちにトランクルームという選択肢を知り、結局一年限定で借りてみることにしました。
借りたいトランクルームの条件を決める
1)予算
所持している荷物の分量と、実家までの距離を考えると、引っ越した場合の費用は最低でも7〜8万円かかることがわかりました。
一年後にもう一度引っ越さなければならないので、合計15万円ほどかかることになります。
ということは、トランクルームの料金がひと月あたり1万円程度であれば、引越しの手間も簡略化できて、金銭的にもお得です。
2)場所
家具の移動は友人たちに頼むことにしたので、車のあてはありました。
一年間は荷物の出し入れはほぼしないと考え、駅からの距離はこだわらないことにしました。
その代わり、小さい荷物を少しずつ自分で運べるように、当時の家から比較的近い場所をと考えました。
3)広さ
もともと引越しを想定していたので、あまり大きな家具はありませんでした。
机も棚も解体できるものばかりでかさばらず、広さはそれほど必要なさそうです。
冷蔵庫のような大きな家電は、後輩に譲ることにしました。
ただ、ひとつだけしっかりとした作りの本棚がありました。
幅、高さとも1.5mとサイズもだいぶ大きめ。
床面積としては、1畳あればなんとかなるだろうという結論に達しました。
予算は月額1万円以内。
家から近く、1畳程度のサイズを借りられるトランクルームを探し始めました。
トランクルームの料金を左右する4つのポイント
【立地】
当然ですが、都心に近いほど、また駅に近いほど高くなります。
目安としては、23区内の屋内型であれば1畳あたり12,000円程度のようです。
郊外であればもっと安く、地方になると約半額になることも。
屋外型の場合は、屋内型の半額を目安にするといいでしょう。
私が住んでいたのは千葉県だったので、都内に比べると安く借りることができました。
さらに、駅からの距離はこだわらないことにしたので、駅から約15分のトランクルームに決めました。
【広さ】
トランクルームには、ロッカーのような小さなタイプからワンルームサイズまで、様々な広さがあります。
私の場合は「現在持っている家財道具を1年間預ける」と、預けたい量も期間も決まっていたので、必要な広さを見積もりやすかったといえます。
立地と広さのバランスで値段が決まるのは、住居も同じです。
しかし、トランクルームには、独特のポイントがあります。
【屋外タイプと屋内タイプ】
屋外タイプと屋内タイプでは値段も違いますが、先ほど紹介したように環境がだいぶ違います。
安さを考えるなら屋外型なのですが、電子レンジや掃除機などの家電や、こたつ布団やカーテンなどの布もの、書籍があったことから、空調設備が整っている屋内タイプにしました。
【階数】
屋外タイプでは、コンテナは縦に2個ずつ積まれていることが多いです。
その場合、2階は月額が安く設定されています。
2階だと、移動式のタラップを使って上り下りする必要があり、大きな荷物がある場合や頻繁に出し入れする場合は不便です。
また、天板に陽が当たり温度が上がってしまうというデメリットもあります。
屋内タイプでは、タラップを移動する手間も温度の問題もないため、階数によって値段に差がないトランクルームもあります。
荷物の出し入れの手間を反映してか、屋外タイプと同じように、1階のほうが高く設定されている場合もあります。
我が家の近くのトランクルームは、屋内タイプでしたが階数によって月額が違いました。
大きな荷物はありましたが、頻繁に出し入れをするわけではないと考え、予算との兼ね合いもあって2階を借りることにしました。
どんなトランクルームがいいかは、借りる目的によって変わります。
自分の優先順位を決めておくと、選びやすいですね。
事前に見学してチェックする
トランクルームの目星はつけたので、契約する前に現地を確認しに行くことにしました。
外観は、企業の事務所かと思うようなきれいな建物でした。
入り口の奥には警備員さんがいて、専用のキーで中に入ります。
また、入ってすぐのところに台車が準備してあり、自由に使えるようになっていました。
トランクルームは、値段と相談して1.2畳のタイプにしました。
1畳ではほぼ半分が本棚に占拠されると思ったのが大きな理由です。
計算上はすべての荷物が入るはずなのですが、本当にこのスペースに全部入るのか……と少し不安になる広さ。
ちょっと広いトイレくらいのサイズ感です。
問題の本棚のサイズを事前に測ってきたので、トランクルームの扉の大きさを測って確認しました。
設備が綺麗で空調がしっかりしており、安心感があったので、すぐに契約を決めました。
しかし、このときに、私は大きな失敗をしました。
トランクルームの建物にあるエレベーターのサイズを計測しなかったのです。
搬入当日、なんとエレベーターの奥行きがほんの少しだけ足りず、本棚を乗せると扉が閉まらないというトラブルが発生しました。
結局、全員で階段を使って本棚を2階まで運びましたが本当に大変でした。
2階以上にするときには、トランクルームの扉だけでなく、エレベーターのサイズも確認しておくことを強くおすすめします。
一年間利用してみた結果
一年間、トランクルームを実際に使ってみてわかったことがありました。
物を運び入れる前は不安だった1.2畳というサイズですが、思いの外大きかったです。
床面積で見ると狭く感じるのですが、空間に余裕がありました。
本棚があったために、物を立体的に収納することができたのがよかったのだと思います。
置き方を工夫すれば、意外と狭いスペースでもうまく収納できそうです。
また、当初一年間は預けっぱなしにしておく予定だったのですが、複数回荷物を出し入れする機会がありました。
そうなってみると、駅から15分の立地は意外と遠く、もう少し駅の近くだったらよかったとも思いました。
もう少し駅に近いトランクルームで、狭いスペースを借りるのが私にとってはベストのバランスだったようです。
そして、一年間使わなかったことで、その後すんなりと手放すことができたものがありました。
主に本や資料、雑貨です。
私はものが捨てられないほうなのですが、一年間は「これがなくても生活に困らない」と実感するのに十分な時間だったようです。
予想外の断捨離効果でした。
まとめ
引越しでトランクルームを利用する場合は、きっと多くの方が大きな家財道具を預けることになると思います。
その場合は、やはり1階をおすすめします。
また、あまりデリケートなものを預けるのには向かない屋外タイプですが、短期であれば検討してみたいと思っています。
屋外タイプは、すぐ目の前に車をつけられるのが便利そうですよね。
次の引越しで借りるなら、駅から近い屋外タイプの1階のトランクルームを借りてみたいと思います。
【参考】
一時的な引越し荷物の保管・トランクルームの利用方法
https://www.homes.co.jp/hikkoshi/cont/prepare/keeping/
引越しの荷物一時預かりサービスの料金と上手な使い方
https://hikkoshizamurai.jp/plan/storage/
引越しでトランクルームを利用する時の料金や保管方法
https://www.hikkoshi007.com/keitai/13236/
引っ越しでトランクルームに家財を一時保管。建て替えにも便利!
引越しの荷物預かりはトランクルームを活用
https://hikkoshi.suumo.jp/oyakudachi/825.html
【追記】2019年6月20日