私の実家は、名古屋から電車で40分ほどの片田舎にある旧家です。
母はそこの一人娘で、大切に、贅沢に育てられたため、身の回りの持ち物だけでも驚くほどの量がありました。
例えば着物だけでも大きな和箪笥に7竿!
しかもそのうちの2竿は、娘時代に着ていた振袖といった具合です。
それでもずいぶん知り合いの娘さんにあげたり、「掛け布団の表」にしてしまったりしたのですが、それでも大量に残っている状態でした。
たださすがに70歳を超え、自分で管理するのが難しくなってきたのか、息子である私に相談してきたのです。
そこで配送サービスの付いた、宅配型トランクルームを提案。
見事、着物や帯の断捨離に成功したのです!
今回は、タンス7竿分の着物と帯の保管方法をみつけた高齢の母についてのお話です。
介護付有料老人ホームへ入居する予定の方にもきっと参考になると思います。
タンス7竿分の着物と帯を保管するには
うちの母は春夏秋冬、ずっと和服で通しています。
そのため普段用の着物だけでも夏用、冬用、春秋用があり、そこにちょっとした訪問着がやはり春夏秋冬分、そして冠婚葬祭用の着物が夏用・冬用、さらに各種紬などのお気に入りのおしゃれ着が加わります。
そして、そこに季節ごとの襦袢や帯、帯揚げや帯締めといった和装小物が加わるのですから、その量はすさまじいものとなります。
結局普段着とちょっとした訪問着をタンス一竿に収納し、引き続き自宅で保管。後の6竿分をトランクルームに収納することにしました。
ただし、やはり問題は着物の出し入れです。
着物は畳んでたとう紙に包み保管します。そのため洋服のようにハンガーラックにかけておくわけにもいかず、平置きにしなければなりません。
狭いトランクルームの中で年老いた母にその出し入れをさせるのはかなり厳しいという結論になりました。
衣替えと冠婚葬祭
衣替えは年に2~3回程度入れ替えですが、実際には「ちょっと寒いな」「まだ暑かった」ということでもう少し回数が増えます。
また喪服は急に必要となるので自宅に置いておくにしても、留め袖や紋付きなどは年に数回出し入れがあります。
車の運転はできても出し入れは難しい
70代後半になるうちの母ですが、日々の買い物や別宅への行き来などでほぼ毎日車の運転をしています。
そのため車の運転自体は全く問題ないのですが、さすがにトランクルームから着物一式を持ち出し車まで運ぶという事はさせられません。
この時点で通常のトランクルーム利用法は難しいということになりました。
トランクルームの配送サービスで出し入れ問題を解消
最近は、宅配型トランクルームではない通常のトランクルームでも、オプションで宅配便を使った収納物の引き取り配送サービスを行っているところがあります。
もちろん宅配便の料金とオプション代金はかかりますが、我が家はこれで着物の出し入れ問題を解消することができました。
配送サービスを利用すれば実際にトランクルームに出向く必要がないので、トランクルームの少ない我が家のような田舎でも「最寄り」を探す必要がありません。
そのおかげで遠方ですが、非常に保管環境が良く、格安のトランクルームを見つけることができました。
大切な着物を預けるには温度・湿度管理が重要
母が所有する着物の中にはかなり高価な物も含まれています。
そのため、万が一にもカビや虫食いがあってはいけません。
そこで、24時間365日一定の温度・湿度管理をしているトランクルームを厳選。
さらに大量に用意した桐の衣装ケースと桐タンスを持ち込み、防虫剤と防湿剤を完備して万全を期しました。
ここまでやって、やっと母は着物をトランクルームに預けることに納得したようでした。
収納した着物の管理方法
着物の物理的な出し入れ問題は解消しましたが、次なる課題は「どこに何がしまってあるか」を把握するという「検索性」の問題。
収納した物は写真で一覧できる
そこで配送サービスで預けた物を写真でリスト化してくれるサービスも利用することにしました。
指定の段ボールに荷物を詰めて送る宅配型トランクルームの場合に良くあるサービスですが、通常のトランクルームでも行ってくれるところを探しお願いしたのです。
これで収納している着物を写真リストから探し、必要なものを選んで配送サービスで受取るという流れが完成。
あとは母に「検索する方法」を教えるだけです。
母にiPadの使い方を教える
それまでもiPhoneを渡して使ってもらっていたのですが、電話としてのみ、それも受信専用でしか利用していなかったため、この作業は難航しました。
まず「iPhoneの小さな画面では見えない!」という不満を受けiPadを購入。
そして写真の閲覧→取り出す着物の指定方法の部分は、画面のスクリーンショットを撮ってプリントアウトし、大きめのケント紙に順番に貼り付けて巨大なマニュアルを作成するという原始的な方法を取りました。
これで衣替えや冠婚葬祭時に、着物の送付→写真で検索→取り出し指定→受取というフローが完成しました。
ネットオークションに出品!断捨離を実現
さてそうなると母も私も欲が出てきて、振り袖など「もう確実に着ることのない」着物をヤフオクやメルカリに出品して「断捨離」を実現してみようともくろむようになりました。
今回利用したトランクルームでは直接ネットオークションに出品するサービスはありませんでした。
でも、管理するために撮ってもらった写真をオークション用に流用したんです(便利)。
売買が成立すれば配送サービスで直接落札者の元に送ることができました。
母としては、子どもが息子ばかりなので着てもらうこともなくタンスの肥やしとなっていた着物達が、再び誰かに袖を通してもらえるのは嬉しいらしく、その上結構なお小遣いにもなって大満足のようです。
自分で管理しきれないモノはトランクルームに送る
今回は、私の母が自分では管理しきれない大量の着物をいかに整理収納し、管理、断捨離するかという事についてお伝えしてきました。
私自身も、それまで自宅に大量にあった洋服や雑貨、家電品などを現在トランクルームに収納しています。
実際、数シーズン利用しなかったモノはオークションに出品するという「超整理法」の手法を用い、大幅な断捨離に成功しました。
私は自分で出し入れをしていますが、配送サービスを利用すればクルマのない方や、母のような高齢の方でも問題なく荷物の運搬ができますから、本当におすすめです。
文:友三郎(40代・元歌舞伎役者、現ファイナンシャルプランナー)