ある日ネットニュースを眺めていると、使っていない物件や自宅の一部が空いた時にそれをレンタルするサービス、「スペースマーケット」が目に飛び込んできました。
調べてみると普通のマンションタイプだけではなく、古民家などの一軒家から、なんと「お寺」まで貸し出しているではありませんか。
そこで思いついたのが、古民家を使った「歌舞伎の化粧教室」。
実際催してみると、雰囲気もバッチリで、参加者全員に喜んでいただけました。
また元カフェでフラワーアレンジメント教室を開催し、出来上がった作品を品評しながらワインを飲むという会も大好評で、現在も恒例のイベントになっています。
今回はそんな、スペースマーケットで見つけた物件を利用したイベントを開催している私の体験談をお伝えします。
スペースマーケットって何?
使用していない物件や自宅をレンタルする
スペースマーケットとは、使用していない家やビル、いわゆる「遊休不動産」を貸し出したい人と、イベントなどの会場を探している人をマッチングさせる「スペースのシェアリングサービス」です。
貸し出すスペースは一定期間使用していない場合だけではなく、「毎週日曜日の午後だけ空いている」といったケースでもOK。
ホストとして登録したスペースがレンタルされれば、手数料を引かれた報酬が入る仕組みになっています。
10,000件以上のレンタルスペースから探すことができる
イベントの主催者やパーティーの幹事などスペースを探す側は、豊富な登録スペースから目的に合ったものを選ぶことができます。
その数実に10,000件以上!
しかもマンションの一室からキッチンスタジオ、中には「お寺」まで登録されていて、逆にスペースを決めてから企画を考えるといった「逆転の発想」も可能です。
パーティーやイベント、会議、撮影にも
バラエティに富んだ登録スペースは、パーティーやイベントはもちろんのこと、会議や撮影会などにも利用されています。
私が借りてみて良かったのが「手ぶらでいけるグランピング」。
海沿いのテラスのある一軒家をレンタルして、友達の家族とBBQをしたのですが、コンロなどの機材はすべて貸し出してくれるので好きな食材だけ持ち寄ればOKでした。
レンタル料は4,000円/hほどでしたが、4つの家族で割れば1,000円/h!!!
夏の恒例行事になりそうです。
相場は1時間1,500円程度から
レンタルする時期(クリスマスなどのパーティー時期は高め)にもよりますが、レンタル料は1,500円程度~。
気軽にレンタルすることができます。
ただ小さいスペースはコスパが悪いので、大人数で一軒家を借りるという方法がおすすめです。
個人だけではなく法人での利用も
パーティーや合コンなどの個人利用だけではなく、会議や研修など、法人での利用も可能です。
10名程度の個室からビルのワンフロア貸し切りまで用意されているので、様々なニーズに対応できます。
私も10名程度で使える会議室でミーティングを行ったことがありますが、渋谷駅近くで800円/hと、コワーキングスペースで会議室を借りるよりコスト面で有利な印象でした。
民泊として宿泊対応もあり
最近何かと話題になっている「民泊」。
スペースマーケットでも大人気となっています。
理由はそのバリエーションの豊富さとリーズナブルな料金。
ひなびた田舎の民家からログハウス、都心のワンルームまで、様々な物件があります。
ちなみに私がグランピングで借りた海沿いの一軒家も民泊可能物件でした。
また郊外の民家なら1泊5,000円程度の予算で、場合によっては10名以上泊れたりするので、コスパは抜群です。
ただし、ビジネスホテル代わりに利用することを想定した都心のワンルームは、1泊5,000~7,000円程度。
コスパは悪く、「それならビジネスホテルに泊まった方が……」という感じ。
やはり「郊外の一軒家」が雰囲気もコスパも良くておすすめです。
日本家屋で歌舞伎の化粧を披露する会
実は私、昔歌舞伎の役者をやっておりまして、芝居の世界に15年ほどおりました。
わけあって役者はやめたのですが、いまだに友人知人から「歌舞伎のお化粧してるところを見てみたい!」とお願いされることがあります。
そこで区民会館の和室を借り、15人ほどの前で歌舞伎の化粧方法(私たちは「顔をする」といいますが)を見せたところ、これが大好評!
すぐに第2弾をやろうということになりました。
ただ区民会館だとやはり雰囲気が出ないので、「どこかいい場所がないかな」と探していたところで出合ったのがスペースマーケット。
すぐに文京区にある築63年の古民家が見つかり、第2回を開催することになりました。
着物を着た友人知人20名ほどが集まったので、まずは茶道をやっている友達にお茶を点ててもらいます。
それを和式の庭(鹿威しまでありました!)で楽しみながら一服。
そして、今回は私が顔をするところを見せた後に観客の方から1人を選び、その方にも顔をすることにしたので更に盛り上がります。
その後に着物の着付けと鬘まで用意して、「お姫様」のできあがりです。
集合写真を撮って、最後に私が踊りを踊って、無事終了。
みんなかなり満足してくれたようです。
こういう企画はやはり雰囲気が大切なのです。
実際、区民会館の時とは、観客である友人知人の「姿勢」まで変わりました。
日本家屋だと背筋が「ピン」とするのですね。
縁側があったり、日本式の庭がある古民家はロケーション抜群で、次回もまたスペースマーケットで場所を探す予定です。
カフェを借りてフラワーアレンジメント&ワイン会
私は現在歌舞伎役者をやめ、ソムリエをしているのですが、友達のお花屋さんとコラボイベントをすることになりました。
友達がやっているフラワーアレンジメント教室の最後にワインを出して、一杯飲みながら作品の品評をしようという企画です。
ただワインを出すとなるとちょっとお店っぽいスペースが必要です。私の店はフレンチで、気軽に貸し切るというわけにもいきません。
そこでスペースマーケットでレンタルスペースを探してみることにしました。
すると元々カフェだったレンタルスペースを発見。カウンターとテーブルがあってスペースも十分で、カフェの設備がそのまま残っているのでお茶を出すことも可能です。
そんな雰囲気のいいカフェでフラワーアレンジメントの作品を作り、その後おしゃべりをしながらワインやお茶が飲める企画。
おかげ様で大好評に終わり、現在では毎月開催するほどの人気企画になっています。
スペースマーケットは借りても貸してもメリットが大きい
今回スペースマーケットを実際に利用してみて感じたことは、「シェアリング」が一般化し、根付いてきたなということです。
東京オリンピック時のインバウンド狙いの民泊がもてはやされていますが、週末を郊外の一軒家で友達家族と過ごすという利用法は、別荘気分を手軽に味わうことができ、また空き家対策にもなるので定着していくのではないかと思います。
気軽に試すことができるので、ぜひ皆さんも好みのスペースを探してみてください。
文:友三郎(40代・元歌舞伎役者・ソムリエ)