『旧田中家住宅』とは、大正時代に建設された本格的洋風住宅で、川口市末広に現存する国指定の重要文化財です。

当時の意匠をそのまま遺した優美な外観と、大正浪漫の雰囲気漂うお洒落な内装は、大人のデートスポットにぴったり。

ちょうど今の季節は、混雑を避け、ゆったりと紅葉狩りを楽しむこともできます。

今回は、思い出深まる紅葉フォトの撮り方ポイントも伝授します!

 

 

1)田中家の家業と住宅の成り立ち

 

住宅としては、県下唯一の木造煉瓦造3階建の建築物です。

 

 

田中家の歴史は古く、1795年に生を受けた初代徳兵衛から始まり、代々長男が家督を相続し「徳兵衛」を襲名しています。

初代徳兵衛は農業を営み、2代目以降は味噌醸造業や材木商として財を築きました。

 

田中家住宅を建設したのは四代目徳兵衛で、家業の他に、埼玉味噌醸造組合理事長や南平柳村 村長、埼玉県会議員を務め、地域住民からの信頼性評価の高い人物だったことがうかがえます。

 

大正10年(1921年)に上棟し、大正12年(1923年)に竣工した木造煉瓦造3階建の田中家住宅は、当時としては非常にモダンで立派な洋館でした。

世間からも注目されていたでしょうから材木商としては建築資材にはこだわりたかったのでしょう。

当時入手できる最高級の材木を取り寄せ、煉瓦も専門職人に特注したと言われています。

 

建築費用の総額は18万円。

これを現在の価値で換算するとおよそ2億5千万円というから驚きです!

さらに驚いたのは竣工記念に撮影された1枚の写真。

 

 

いや、イ〇バ物置ですか!?思わずツッコミたくなる【100人乗っても大丈夫】感!!!

建物前にも多くの人々が集まり、当時の田中家繁栄の象徴とも言える写真ですね。

 

 

2)和洋折衷の趣深さにひたる大人デートなひとときを

旧田中家住宅では、大正時代に建設された洋館の他に、昭和9年(1934年)に増築された和館や池泉回遊式庭園を有しています。

そこは、令和の現代に見ても、和洋折衷のモダンな雰囲気や魅力にあふれています。

 

 

木漏れ日がゆらめく和館の縁側は美しく、まるで時が止まったかのように優しい時間が流れます。

 

わたしは古い歴史ある建築物が大好きなのですが、中でもお気に入りは窓などに用いられているゆらぎのあるレトロなガラスです。

歴史建造物を訪れた際には、縁側でそのレトロガラスを通してゆらぎのある景色を、ついつい時間を忘れてぼんやりと眺めて過ごしてしまいます。

日常では見ることのないゆらぎのあるガラスの景色が、なんとも愛おしいのです。

 

 

昔は手吹きで作っていたために歪んだガラスになってしまっていたそうなのですが、ガラスの製造技術が向上した現在では、このようなゆらぎのあるガラスは作られないようになりました。

 

技術の進歩により、消えていくものがある。

その消えゆく美しさを現代人に伝承し、遺していくのが重要文化財の役割です。

 

毎日忙しく仕事に追われていたり、家事や育児で自分時間のコントロールが難しかったりする大人世代の皆様に、ぜひ、感じてほしい。

ゆったりとたゆたう、非日常の時間の流れを。現代社会にはない、歴史あるものの美しさを。

 

 

3)不定期開催の催し物にも注目

旧田中家住宅では、不定期でイベントが開催されています。

端午の節句の五月人形の展示や、桃の節句にちなんだ旧家の華やかな雛人形の展示公開など、季節に伴った定期開催がある他、企画展や美術品の展示も不定期におこなっています。

 

 

筆者:麻衣子はんが訪れたこの日は、【常(とこしえ)ト楽(たのしみ)】展を開催していました。

お茶×アートのコラボレーションをテーマにした、伝統文化と芸術の調和を楽しめる企画展です。

※本展は2020年11月23日で終了しています。今後の催事についてはホームページをご確認ください。

 

 

旧田中家住宅に何度か来訪している麻衣子はんですが、催し物ごとに、また違う雰囲気が味わえるので、幾度となくリピートしています。

ちなみに、こちらは2月に訪れた際の写真(雛人形)と……

 

 

今回の来訪時に撮った写真【常と楽】です。同じ部屋ですが全く異なった空間に見えますね!

 

 

こちらは立方体の枠のようなアートなのですが、撮り方によって額縁のようになったり、奥行きのあるモダンな写真が撮れたり面白い作品です。

 

 

こちらの大きなオブジェは、あえて一部だけフレームインさせてみました!

アートと自由に写真撮影ができるのはうれしいですね。

 

 

 

4)紅葉の見頃やベストフォトスポットを紹介!

11月半ば。秋も深まり、そろそろ紅葉が見頃に……と思って訪れた旧田中家住宅ですが、まだ葉は青々としておりました!

学芸員さんにうかがったところ、去年は冷え込みがゆるく、例年に比べて紅葉も遅かったため12月半ば頃だったそうです。

 

今年も同様に、朝晩の冷え込みが例年よりも遅いので、綺麗に赤く染まるのは12月に入ってからになるかも?とおっしゃっていました。

 

紅葉見頃については、旧田中家住宅を管理している川口市立文化財センターに電話で問い合わせすれば、その都度、紅葉の進捗状況を教えてくださるそうなので、気になる方は来訪前にチェックすることをおすすめします!

 

紅葉はまだ先でしたが、庭園で撮れる紅葉フォトスポットを探ってきました。

スマホで十分素敵な写真が撮れますのでご参考になれば幸いです。

庭園は和館側にあり、縁側の前に立派なもみじがあるのでこんな風に撮ってみるのはいかがでしょうか?

 

 

手前にもみじ、奥に縁側や人物を配置すると奥行きのある紅葉フォトが撮れます。

 

 

また、全体的に紅葉グラデーションに囲まれた写真も素敵ですね!

少し遠くから、腰くらいの低めの位置にカメラを構えて、自然と空を多めに配置して撮ります。目線を上にして後ろ姿でとってもいい感じですよ。

 

 

池の奥に和館を配置したこのような背景で人物を撮ると、和館の全体的な雰囲気が撮れます。ぜひお試しを。

 

 

インスタ映え必須の重要文化財での紅葉狩りで、ぜひ大人デートを楽しんでみてはいかがでしょう。

 

 

 

 

文:麻衣子はん
《お気に入りだけに囲まれた丁寧な暮らし》をモットーに生きる、8歳と5歳の子どもを持つママライター。
大好きなお着物でぷらっとお出かけするのが趣味♪ photo映えおすすめスポットをインスタで紹介しています。
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