不動産業界に身を置く筆者にとって、トランクルームと聞けば、馴染みのある言葉で、それがどういうものなのかも理解できる。
しかし周りの人に尋ねると「聞いたことはあるけど、実際どうやって使うの?」と素朴な疑問が返ってくる。
どのように使えば良いのか、利用方法が浸透していないことに少々驚くが、よく考えてみるとトランクルームを利用すべき場面でトランクルームの情報が消費者へ上手く届いていないことが原因のひとつなのかもしれない。
また、業者を通さず、消費者間でモノを直接売り買いできるCtoCプラットフォームの出現も理由のひとつだと思う。
これによって、消費者は不要なものを気軽に手放すことができ、家の中のスペースを空けることができるようになったのだ。
しかし、筆者もそうなのだが、いざ整理しようと思っても、「これは少し捨て難いなぁ。今は使わないけど、そのうち使う場面が来るかもしれないからもう少しとっておこうかな」という場面に出くわすのだ。この状況、皆さんもきっと「あるある」なのではないだろうか。
結局うまく断捨離できず、ほとんどのモノが家に残ってしまうも、「うん、これでいいのだ」と自分を無理やり納得させることがあったりする。
しかし、これが出来る人と出来ない人がいるのは確かだし、無理に捨てなくてもいいのではないかと思う。
なぜなら、自分の手からリリースすることを躊躇うということは、当たり前だけど自分が大切に思っているサインになっているから。
そして無理に捨てなくても、家の中ではなく、外にも保管できる場所があるのだから。
それこそが今回紹介したい、トランクルームの魅力である。
トランクルームとは、個人や企業のための「貸倉庫」のような便利なハコ。
今や種類もサイズもさまざまだ。それぞれが、利用する人の用途に適した使いやすい設計になっている。そこには、大きく分けて3つのポイントがある。
1)広さを柔軟に選べるから便利!
トランクルームは建物内のフロアスペースを区切って提供するので、同じ場所でもさまざまなサイズを選べるということが一つのポイントだろう。
サイズの幅は多岐に渡り、一番小さい広さは約0.5畳ほど、大きいところは約6畳もある。
思い出してほしい。一人暮らしを始めるときの部屋の広さは、たいてい6畳が相場と決まっている(筆者調べ)。
最初は、「おっ、意外と広いじゃん!」と思っていたワンルームも、家具などを置くとなかなかの圧迫感を感じる。
あれはなぜなのだろうか?そう、物を置きすぎなのだ。
トランクルームの広さが想像しにくい方へ、ぜひお伝えしたい。
約6畳分ということは、初めて一人暮らしをした時の「意外と広いじゃん!」の広さである。
つまり、何も置かれていない6畳はかなり大きいということ。
6畳ともなると、一般の方が大きな荷物を置いたりすることはもちろん、企業の資材や、書類をまとめて保管しておくことができるのだ。
対して0.5畳となると、かなり小さいと感じる方もいるのではないだろうか?
畳半畳でなにが置けるのだろうと思うかもしれないが、実際に見てみると、意外と広いのだ。
また、トランクルームの特徴として、天井が高いことが挙げられる。
ここにモノを積み上げ収納すれば、驚くほど荷物が入るのだ。
毎年決まったシーズンには使うけども、家に置くには少し場所を取ってしまうと感じている物がある人にはおすすめである。
2)空調による品質管理ができるから便利!
一度利用したことがある方は分かるかもしれないが、トランクルームは屋内に設置されているため一年を通して湿度が少ない涼しい環境が設定されている。
皆さんが自宅にモノを保管する際に気を付けている点が湿気だろう。
湿気が多いと、服にも変な匂いが付いてしまうし、最悪のケースでいくとカビが生えてしまうこともある。
筆者が以前住んでいた家は日当たりがあまり良くなかったので、革製品がカビで覆われてしまったことがあった。
トランクルームを手軽に使えていたらこんなことにはならなかったかもしれないと後悔している。
住んでいた部屋が狭かったにも関わらずモノを置きすぎたために湿気が付きやすい環境になってしまったのも原因だと思う。
やはり自分の大切な物を保管するのであれば、清潔さはキーワードになるがそれを満たしてくれる選択肢にトランクルームも挙がってくるだろう。
3)いつでも引き出せる四次元ポケットと安全性!
最後にちょっとふざけた見出しだが、言葉そのままである。
トランクルームはあなただけの収納ポケットなので、もちろん24時間いつでも引き出しが可能である。
そして利用者がいつなんどきでも持ち運べるように、照明は常時点灯している。
各トランクは整然と一列に並べられ、まるで一つのアート作品のように見える。
夜にいくと、ひんやりした空調効果も加わって、少々の肌寒さがワクワク感を駆り立てる。
こんな身近で、意外なアドベンチャー感を味わえるなんてすてきじゃないか。
もしかしたらなにか、ホラー的なものを想像された方もいるかもしれないが、安心してほしい。セキュリティは万全である。あなたの背中を吉田沙保里が守っている。場合によっては長嶋茂雄終身名誉監督もいるが、安心してほしい。絶対三遊間は抜かれない。
いつでも引き出せるという点では、同じ収納スペースとしてコンテナがあるが、屋外にあるため照明問題が難点だ。
そして残念ながら、盗難に遭うリスクも、屋内のトランクルームに比べると少し上がる。
いつでも引き出せる利便性と安全性、どちらも譲れない方にはぜひおすすめしたい。
まとめ
上記メリットも踏まえた上で話は少し変わるが、現在東京の部屋(一人暮らしの身にとって)は、どんどん狭くなっている。
「働き方改革」がトレンドワードとして踊っているが、普段会社に働きながら、二枚目の名刺を持つ人が増えているように思う。
つまり副業だ。筆者の周りでも2つ、3つの仕事をこなしている知人は、複数いる。
みんな好きで取り組んでいて、時間も忘れてしまうほどに没頭する人たちが、今後も増えていくだろう。
ライフとワークの境目なんて薄れていくと思うし、日に日に感じることだ。
そしてその潮流において、「住」はどんな役割を果たすべきか、日頃から考えているが快な答えは出ない。
労働人口が莫大に増えたことで、多くの宅地が必要とされてきた数十年前とは状況が全く異なる。
2022年に生産緑地が解除されるが、さらに住宅を増やしていくべきなのか?
働き方が変われば、絶対に人の「住」が変わるはずだ。
その大きな変化の先を読み取り、それぞれのスタイルに合った形を提案することが、不動産業を営む我々の使命だと再認識している。