もしかしてあなたは、倉庫整理に時間が取られていませんか?

私は、とある大型量販店で倉庫を7年勤めています。

倉庫業務は面白いけれど、とてつもなく大変です。

毎日多種多様で大量の在庫が入荷されてきます。

さらに、お店で使うコピー用紙から蛍光灯などの消耗品、掃除用具、さらに販売什器や、ポップ什器、サンプル什器……。

加えて、伝票やジャーナルの管理、机や椅子などの事務用品の管理。

とにかく大量の物、物、物を整理整頓し続けなければいけません。

 

元来さぼり屋で面倒がり屋の私は、ある日、この忙しさに嫌気が差しました。

なんとか、何もしないできれいを保つ方法はないのか。

しかも、それでいて上司からどやされるということがないという理想の状態はないのか模索しました。

私だってちょっとぐらい、勤務中にレジの女の子をからかって遊ぶ余裕がほしかったのです。

 

そして自分が犯していた、整理整頓に関する多くの誤解に気付いたのです。

あなたもきっと同じような勘違いをなさっているはず。

だから整理しても整理しても、すぐ〝リバウンド〟してしまうのです。

 

よろしいですか……?

 

あなたを信頼しているから、語るのです。

 

「断捨離」しか知らない私の上司にこの収納術がもしバレたら、仕事を大増量されてしまうので、ぜったい誰にも言わないでくださいね。

 

 

間違い1)使用頻度の高いものを入り口付近に置く

倉庫

 

素人が最もやりがちなミスは、よく使うものを入り口付近に置いてしまうこと。

手前にあれば、取り出すのが面倒くさくないですからね。

 

でも、実はそうではないのです。

 

よく使うものこそ倉庫の奥や隅に置くほうがよいのです。

というのも、使用頻度が高いものが奥にあると、それを取り出すためにあなたや、あなたのご家族は、奥まで取りに行かなければならなくなります。

一見すると非合理に見えますが、実は「奥まで行く」という行動によって、しっかりと倉庫内の通路が確保されるのです。

ものを取りつつ、自然と、整理しているわけなんですね。

 

逆によく使うものを手前に置くと、誰も奥へ行かなくなります。

それによって奥がどんどんごちゃごちゃになります。

挙句の果てに通路などにも平気でものを置くようになり、その結果、すぐに倉庫がカオスになるのです。

 

よろしいですか。

よく使うものを倉庫の奥に置きましょう。

 

間違い2)現在の状態できっちり整理をしてしまう

 

これも新人倉庫がよくやりがちなミスです。

 

例えば夏場など、冬物のストーブやこたつなどが倉庫に入っている状態の時、その状態ですべてのスペースを使って、きっちり整理整頓をしてしまう。

そして季節が変わり、逆に夏物が倉庫に入ってくると、うまくおさめられなくなるのです。

 

今あるものだけ考慮に入れて、どのように整理したらよいかを考えると、結局将来メンテナンスが必要になります。

理想は1年先まで考えてみること。

倉庫にどのようなものが入ってくるかを考慮に入れて配置を決めましょう。

 

1年分のスペースが確保できていれば、倉庫は永久に乱れません。

 

 

間違い3)似たようなものを細かく、完璧に分類してしまう

ねじ

 

例えばバールやトンカチ、ネジなどを、全部ひとつひとつ分けて収納してしまう。

トンカチも大きいトンカチと小さいトンカチを別々に収納するような整理の仕方は素人です。

 

例えばご家庭の場合、大工用品はそれほど大量にないと思いますので、せいぜい三つで分類できないかを考えましょう。

例えばトンカチ、バール、ペンチなど大きな道具。

ドライバー、カッターナイフなど中くらい道具。

ネジ類など小さなもの。この3つだけにするのです。

 

あまり細かく分けすぎると確かに取り出しやすい。

でもそれに比例して片付けにくくなる。

片付けるのが億劫な状態にしていると、時間とともにじわじわと倉庫が乱れていきます。

 

間違い4)取り出しやすさ、見つけやすさを最優先してしまう

 

必要な時にさっと倉庫に入ってすぐに必要なものを見つけて作業が行えれば、確かにストレスがありません。

そうすることで作業が止まることなく進められます。

 

でもどうでしょう。

 

「取り出しやすさ」と「片付けやすさ」は両立しません。

 

つまり「ものが取り出しやすい倉庫」は、「ものが片付けにくい倉庫」なのです。

 

その3でも述べましたが、例えば分類をかなり細くすれば必要なものはすぐに見つけやすくなるでしょう。

プラスドライバーとマイナスドライバーが分かれていれば、取り出しやすいでしょう。

でも使い終わって片付ける時に、その分だけ面倒になります。

逆にプラスもマイナスも同じ箱に入れるようにしておくと、片付ける時に楽です。

その箱にぽいっと放り投げて完了ですから。

 

そして、取り出す時と片付ける時のあなたの「モチベーション」の差を考えてみてください。

 

例えばドライバーを取り出す時、あなたはドライバーが是非必要なのです。

だから少々取り出しにくくても頑張ります。

プラスとマイナスがごっちゃになっていたら、文句のひとつも言うかも知れませんが、それでもやっぱりちゃんと見つけ出し、取り出します。

 

でも片付ける時はどうですか。

すでにドライバーの役目は終わっている。

しばらく使う予定もない。

当然片付けるモチベーションは下がります。

作業が終わったところで、どっと疲れもたまって頭もぼうっとしています。

箱にぽいっと入れるぐらいならばできても、いちいちプラスとマイナスを分けて入れなければならないのはとても面倒に感じます。

最悪の場合、全然違う場所に置いてしまったりするのです。

そして次に見つからなくなる。

 

一方で片付けやすさを優先させておくと、たとえプラスとマイナスがごっちゃでも、「少なくともこの箱の中にはある」という状態で、どうにか食い止められます。

見つからないという最悪の事態は常に避けられるのです。

 

おわかりでしょうか?

 

倉庫を常にきれいな状態に保つには「片付けやすさ」を優先した方がよいのです。

 

 

間違い5)物の〝形〟ではなく〝内容〟で整理してしまう

雑誌

 

例えば100冊の本があったとします。

 

あなたはそれをどのように分類しますか。

 

ここでやってしまうのが、本の「内容」によって分類することです。

例えば図書館みたいに分類してしまう。

図書館ならば利用者のために内容によって分類してあれば便利ですが、個人で使用する場合は必ずしもそうではありません。

 

例えば「ビジネス書」という分類項目を作って本棚に並べたとしましょう。

するとそこには文庫本サイズの本から、通常のA4サイズの本、それからその倍くらいの大きな本なども並ぶことになります。かなり凸凹ができてしまうのが想像できるかと思います。

そのへこんだ部分がデッドスペースとなってスペースがムダになる。

スペースに余裕がなければ、乱れやすくなります。

 

ではどのように分類するのがベストか。

ものの〝大きさ〟で分類するのです。

「小さい本」、「中くらいの大きさ」、「大きい本」。

このシンプルな3分類によって無駄なスペースがかなり減ります。

例えばダンボールに入れる場合でもスッキリと隙間なく収まります。

 

もちろんこれが10万冊とかいった量ならば、内容で分類した方が良いです。

しかし個人で使用する程度のせいぜい5000冊程度までならば、本の内容ではなく大きさで分類した方がきれいにおさまるのです。

 

まとめ)倉庫の収納で目指すべきは、70%程度の見つけやすさ

 

以上、「どうにか労働量を減らしたい!」と言う必死の要求の中で私が見つけ出した、収納する時やりがちな間違いを、5つご紹介いたしました。

 

あなたの倉庫には、いくつ当てはまりましたか?

 

共通する〝素人ポイント〟は、「見つけやすさばかり」に注意して整理してしまうこと。

作業が終わって、あなたが疲れ切っている時でも片付けが億劫にならないかを、是非自問しながら倉庫デザインを考えましょう。

ちゃんとものを片付けないのは、決してその人の性格や心掛けが問題ではないのです。